文明の利器はどこまで進んでいくのだろうか。そう考えさせるほど、IT(情報技術)機器の進化はめざましいものがある。その代表例がスマートフォン(高機能携帯電話)だろう。携帯電話とパソコン機能を融合させ、恐るべきスピードで普及している。その最大のメーカー、サムスン電子と米アップルはスマートフォン一つで莫大な利益をあげ、覇権争いも激化している。
サムスンは最新機種「ギャラクシーS3」で勝負に出た。顔、目、音声、モーションなど、ユーザーの身体的特徴を認識して自動で動作する優れものだ。例えば、スマートフォンは一定の時間タッチしなければ画面が消えるが、内臓カメラがユーザーの顔や目を認識し、画面を見ている間は消えない機能がある。一方のアップルは、アイフォーン後継機種にカーナビ機能をつける見通しだ。し烈な競争がさらなる技術革新を促しているともいえよう。
スマートテレビの世界も急進展をみせている。スマートテレビとは、テレビ放送にネット接続を可能にし、アプリケーションソフトを後から追加して機能も拡張できる新しいテレビだが、今後、デジタル機器をネットワーク化し、その中心機器になるものだ。
昨年1月にラスベガスで開かれた世界最大の家電ショーで、サムスン電子やLG電子が新しい使い方のテレビとしてスマートテレビを取り上げ注目されるようになった。
東京秋葉原の量販店に行けば、一番目立つ位置にLG電子のスマートテレビが展示され一番人気という。来年にはサムスン電子も日本市場にスマートテレビを投入する。これまで日本で韓国製テレビは注目されなかっただけに、大きな変化といえよう。ロンドン五輪が開かれる英国でも、スポーツ観戦に適した最高の製品に韓国製スマートテレビが選ばれるなど評価が高い。
世界のスマートフォン4台のうち1台は韓国製であり、スマートテレビは半分以上が韓国製だ。だが、油断は禁物である。ITの核心であるソフトウエア分野の遅れが指摘されている。この分野での取り組みも期待したい。(S)