韓国人歌手が世界を席巻したという、うれしいニュースが飛び込んできた。PSY(サイ)の「江南スタイル」が、9月30日に全英シングルチャートでトップに立った。韓国人歌手の楽曲が首位を獲得するのは初めてという。
同曲は米ビルボードでも2位に付けており、両国同時トップの可能性もある。韓国大衆文化が世界に認められた、まさに快挙といえるだろう。
世界市場で成功したアジア人歌手といえば、日本の坂本九が歌った「上を向いて歩こう」がある。「SUKIYAKI」と題され全英チャート10位にランクインしたのは、半世紀前の1962年。翌63年には米国でもビルボード1位となり、世界約70カ国で発売された。「江南スタイル」は、それ以来のアジア人歌手の大ヒットである。
PSYは1977年生まれの34歳、本名は朴載相。韓国の高校を卒業後に米国留学。米バークリー音楽大学で学んだ後、歌手となった。02年にアルバムデビューし、今年10年目を迎えている。
「江南スタイル」は彼の6枚目のアルバムだが、そのミュージックビデオで披露したコミカルな馬ダンスが人気を集め、動画サイト「ユーチューブ」の再生回数が、世界で何と3億3000万回を超えるに至った。
顔やスタイルに大きな特徴がない、いわば小太りのラッパーだが、馬ダンスとテンポの良い曲は世界に受け入れられた。そのアイデアと奇抜さの勝利といえよう。
韓国は98年、当時の金大中政権が経済危機克服の一つとして「文化産業の世界化」を目指した。映画、ドラマ、K-POPなどが「韓流」としてアジア市場をはじめ各国にファンを作ってきた。
しかし、「韓国文化の世界化」と呼ぶにはまだまだ厚い壁があった。PSYは、「江南スタイル」一曲で一気にその壁を乗り越えたのである。
彼の快挙は、他の韓国人アーティストにも大きな勇気と誇りをもたらした。韓国大衆文化が、今後も世界に発信していくことを期待したい。(L)