世界188カ国が参加してIMF(国際通貨基金)・世界銀行の総会が始まったが、韓国はIMFと世銀の支援も得て、戦後復興と高度成長を実現した。援助される国から援助する国になった模範生である。
この経験を生かし、途上国発展に向けて積極的に発信する使命があると思う。在米韓国人のジム・ヨン・キム(金鏞)氏が世銀総裁の地位にあることも心強い。
戦後復興や途上国の経済開発支援を目的にしたIBRD(国際復興開発銀行)と、途上国でもより貧しい国を支援するためのIDA(国際開発協会)。この2つを総称して世界銀行と呼んでいるが、IDAから融資を受けている国が所得水準を上げ、IBRDの融資対象となり、いずれは卒業して韓国のような資金供与国になるのが理想だ。
韓国がIMF・世銀に加盟したのは、韓国戦争後の1954年。日本の加盟より6年早い。早期の加盟が海外からの資本調達に緊要だったからだ。戦後の復興期には世銀から資金を借り入れ、産業基盤を整備した。最貧国から漢江の奇跡を実現し、今では対外援助をするまでに発展した。
国際金融危機の火消し役の異名をとるIMFとの因縁も深い。1997年の通貨危機の時、韓国を救ってくれたのがIMFだ。500億㌦を超す資金の融資を受け、息ついた。それから4年で全額返済した。
今回のIMF・世銀総会は、先行き不透明感が強い世界経済の安定に向けて、各国の協調が最大のテーマだが、欧米先進国経済が相次いで危機に陥り、途上国に対する支援が相対的におろそかになる恐れがある。いまも世界の人口の7割が貧困におかれ、15億人が電気もない状況にあることを忘れてはならない。
昨年、釜山で開かれた大規模な開発関連国際会議で、クリントン米国務長官が「開発の効果については韓国よりもよく知る国はない」と言及した。韓国は、多くの途上国の開発モデルであり、途上国支援強化に向けた懸け橋の役割と使命は大きい。(S)