ここから本文です

2012/10/19

<鳳仙花>◆自然科学でノーベル賞めざす韓国◆

「1対19」。韓日のノーベル賞受賞者の比較だ。特に自然科学分野では「0対16」と、圧倒的な差が付いている。

 今年のノーベル医学生理学賞受賞者に京都大学の山中伸弥教授が決まったことに、韓国は大きな刺激を受けており、国を挙げて自然科学分野のノーベル賞を目指すべきとの声が改めて高まっている。

 韓国でこれまでノーベル賞を受賞したのは、故金大中・元大統領が2000年の南北首脳会談開催により、韓半島の平和に貢献したことを評価されてノーベル平和賞を受賞した一件のみである。詩人の高銀氏(79)がノーベル文学賞候補に名前の挙がったこともあるが、残念ながら受賞とは縁が無かった。

 今回、山中教授が受賞したのは人工多能性幹細胞(iPS細胞)の研究だが、韓国でも同分野の研究は盛んに行われている。

 山中教授はノーベル賞受賞後、「日本と韓国は、幹細胞研究分野で世界を先導する存在だ。両国が同分野の研究をリードしていけば、韓国人学者のノーベル賞受賞も夢ではないだろう」と、韓国人科学者にエールを送ってくれた。とても勇気付けられる言葉である。

 日本は戦後間もない1949年に、湯川秀樹博士がノーベル物理学賞を受賞するなど基礎研究の土台がある。

 一方、韓国は日本による植民地支配や韓国戦争の混乱で、本格的な科学研究のスタートは60年代に入ってからと、研究開発と人材育成に遅れを取ってきた。

 韓国政府はそれに対応すべく、国内総生産(GDP)に占める研究開発費の比率を世界2位となる4・03%まで増加させた。優秀な研究チームへの支援も今後増大するという。下地ができつつある。

 「難病治療に役立ちたい」と、不屈の研究を続けた山中教授らの研究姿勢も励みになっている。韓国人学者が、自然科学分野のノーベル賞を受賞する日を期待したい。(L)