いま中東アブダビ・マスダール、オランダ・アムステルダム、中国・天津など世界各地で200を超える「スマートシティー」の壮大なプロジェクトが進められている。韓国では仁川市の埋立地に建設中の松島新都市がスマートシティーをめざしている。
このスマートシティー・プロジェクトが始まった背景には、気候変動問題があり、IT(情報技術)など最新技術を駆使してエネルギー効率を高め、省資源化を徹底した環境配慮型の都市づくりに取り組むことになった。具体的には電気や水道などの社会インフラ、交通網、通信網などの情報を統合的に制御し、環境負荷の軽減を図ることだ。
松島新都市はそのひとつのモデルとして世界の注目を集めている。総額400億㌦が投入される見込みで、完成時の2015年には6万5000人の住民、30万人の勤労者で賑わうことになる。昨年3月にオープンした68階建ての「東北アジア貿易タワー」など高層ビルが相次いで姿を見せ始めている。17年には韓国最高峰、151階建ての「仁川タワー」も完成する予定で、「東洋の摩天楼」の雰囲気も漂わすことになりそうだ。
街づくりの最大のコンセプトは環境重視。街の中心に40㌶の公園を設け、住宅や商業・娯楽施設などが取り囲むように設計。全長25㌔の自転車専用道路を張りめぐらし、徒歩や自転車を主な移動手段にして、車を極力使わなくてすむようにしている。高層住宅にはハイテクが完備され、ゴミをダクトから吸引して収集センターまで自動集積することで、街にゴミ収集車は不要となっている。
仁川国際空港と仁川大橋で結ばれ、車で15分で行けるアクセスの良さもあり、今後スマートシティー事業に取り組む多くの国が、松島新都市でスマートシティーを体験できることになる。エネルギー効率を最適化し、環境負荷を軽減した次世代の都市として、松島新都市がモデルを提供できるように期待したい。(S)