韓国と日本、中国の3カ国間のFTA(自由貿易協定)交渉開始が宣言された。この間、外交的にギクシャクするなかでも、FTAの実務協議チャンネルだけは閉ざされなかった。FTA交渉開始で、3カ国が貿易自由化を軸に経済統合への道を切り開くことになると期待したい。
この3カ国間のFTAは世界的に見ても大きな意味がある。3カ国合計のGDP(国内総生産)は昨年14兆3000億㌦に達し、世界GDPの2割を占める。米国などのNAFTA(北米自由貿易協定)の18兆㌦、EU(欧州連合)の17兆6000億㌦に次いで世界第3の経済圏だ。アジアの時代と言われて久しいが、欧米の経済の行き詰まりをみるにつけ、今後の世界経済をけん引する韓日中の役割には大きなものがある。
FTAの経済効果は決して小さくない。対外経済政策研究院は、韓日中FTAが締結されれば、韓国では今後10年間で最大163億㌦の経済効果があると試算している。関税引き下げや投資障壁の緩和などによるGDP押し上げ効果が大きいということだ。
FTA効果は経済面だけではない。FTAによる貿易拡大は互いの緊張を緩和させ、紛争の抑止力にもなると期待される。
3カ国間の貿易額は昨年6838億㌦に達し、10年間で5倍近く増えている。また、分業体制に基づく生産ネットワークも構築し、相互依存関係を深めている。長い歴史と交流を持つ隣国同士の韓日中3カ国である。FTAは、経済的な結束を強める強力な触媒でもある。それゆえ選択した。
韓日中のほか、ASEAN(東南アジア諸国連合)10カ国とインド、豪州、ニュージーランドが参加する東アジアサミットも2015年をめどに自由貿易圏をめざすことを決めた。域内GDPの7割を占める韓日中がその中核にあることを忘れてはならないだろう。
来年3月にも韓日中FTAの初交渉が行われる見通しだが、ぜひ世界経済をリードするという大局観に立って交渉を進めてほしい。(S)