知的障害者の国際的スポーツ大会「スペシャルオリンピックス(SO)」が1月29日、平昌(ピョンチャン)で始まった。大会には世界106カ国・地域から3014人の選手団が参加。家族やボランティアなどを加えると、約1万1000人が平昌に集まる。日ごろの訓練の成果を発揮し、知的障害者が思う存分にスポーツに挑戦する8日間となってほしい。
SOは、故ケネディ大統領の妹ユニス・ケネディ・シュライバー夫人が1962年、知的障害のある子どもたちのために自宅の庭を開放して開いたデイ・キャンプが始まりだ。彼女には知的障害をもつ姉のローズマリーがおり、姉とその仲間たちにスポーツの楽しさを伝えたいとの思いで始めたという。その活動を68年にケネディ財団が支援して組織化し、同年第1回SOをシカゴで開催。以後、SOは欧州やアジアに広がり、平昌は第10回大会となる。
パラリンピックと比較すると知名度は低いが、40年以上の歴史を持ち、世界約400万人の知的障害者が何らかの形で参加している。順位よりも知的障害者がスポーツを通じて自己啓発と社会参加を進めること、障害者の人権向上に目的がある。SOの平昌開催が決まったのは2010年9月。18年冬季五輪の平昌招致実現の一助と、知的障害者への差別をなくすことを考えての誘致だったという。
知的障害者への社会的理解が少なかった当時は、スポーツや音楽、美術に親しむ機会はほとんどなかった。しかし、一度接すると思わぬ才能を発揮し、世界的に活躍する人も輩出している。開幕式で韓国国歌を歌った朴モセさん(21)も、脳に障害を持って生まれ、話すことも歩くことも困難だったが、5歳の時に賛美歌に出会い、母の支えを受けて歌手となったという。
今大会のスローガンは「一緒に挑戦」である。知的障害者が才能を発揮し、社会の一員として共に歩もうというその思いが、世界に伝わってほしい。(L)