人工衛星搭載ロケット「羅老(ナロ)号」の打ち上げ成功で、韓国もスペースクラブ入りした。これは、宇宙開発の3大要素である衛星、発射体、発射場を自前で確保したことを意味する。今後は独自技術で韓国型ロケットを開発し、2020年に月探査船を打ち上げることが目標だ。韓国国民の多くが次期プロジェクトである「韓国型発射体(KLSV-2)開発計画」を支持しており、いよいよ韓国も本格的な宇宙開発時代を迎えることになった。
宇宙開発には莫大な資金が必要だが、その意義は大きい。通信・放送、測位、気象観測などの衛星利用は、国民生活に深く浸透しており、技術革新の原動力ともなる。さらに、人々の宇宙観、地球観、生命観に大きな影響を与え、新たな文明の展開をも促す可能性がある。最近では、宇宙空間で作ることが可能な薬の開発も進められている。
何よりも夢がある。旧ソ連が1957年に人類史上初めて人工衛星スプートニク1号の打ち上げに成功し、69年には米国がアポロ11号の有人月面着陸を成功させた。火星探査も始まっている。
韓国の宇宙開発は大きく出遅れ、やっと89年に韓国航空宇宙院を設立し、その歴史は20余年にすぎない。だが、自前の発射場で羅老号打ち上げに成功し、3段式国産ロケット「KSLV―2」を17年までに開発する計画に拍車がかかっている。
韓国が宇宙開発を進める上で最大の課題は投資拡大で、国民一人当たり投資額がわずかに年間4000ウォンに過ぎない。米国(14万ウォン)、フランス(5万ウォン)、日本(3万ウォン)に比べ大きく見劣りする。しかし、最近の世論調査によれば、「宇宙開発のため1万ウォン以上負担する用意がある」と国民の79・5%が回答している。
国土は狭く、資源に乏しい韓国にとって、宇宙と海洋は戦略的にも重要な分野である。将来を見据え、これまで積み重ねてきた技術と経験を土台に造船やエレクトロニクス、自動車で実現したように、宇宙開発でも新たな奇跡を起こしてほしい。(S)