ハリウッドといえば映画の都。多くの撮影所があり、ここで制作される映画は世界中に配給され、米国文化を世界に広める役割を担ってきた。韓国でそんなハリウッドをめざした事業が進められている。ソウル市西北部の麻浦(マポ)区上岩(サンアム)洞のデジタルメディアシティー(57万平方㍍)内に最先端の映像スタジオやテーマパークが集まる「韓国版ハリウッド」を2015年をめどに完成させる計画という。夢のある事業であり、大いに期待したい。
山岩洞一帯は、かつては日本の夢の島のようなごみ捨て場だった。だが、環境整備を進め、11年前にワールドカップサッカー場が完成した。当時、W杯韓日共催大会の開幕戦で取材に赴いたが、周囲はまだ殺風景な未開発状態だった。その後、メディアシティー構想が進められ、いまではテレビ局のビルが林立するほど様変わりしている。
ソウル市はこのデジタルメディアシティーをさらに発展させるため、昨年から1700億ウォンを投じて、韓国版ハリウッド建設を推進している。ドラマや映画の撮影に欠かせないセットや各種の制作施設、韓流文化体験館を作る計画だ。また、世界最大規模のコンピューターグラフィック制作基地もつくり、多様な特殊撮影を可能にする。5000平方㍍規模の都心型撮影セットには警察署と裁判所、ホテル、病院など撮影協力を受けにくい場所も完備する。
ソウル市は、デジタルメディアシティーと周辺地域の開発が終われば、一帯は文化コンテンツのハブに生まれ変わると期待している。15 年には880社が入居、6万人以上の雇用と年間売上35 兆ウォンを見込んでいる。
ハリウッドは20世紀初め、最初に独立系の制作者が集まり、その後大手も次々とここに拠点を移した。今では映画のメッカであり、また巨大な輸出産業に成長した。韓国映画はまだ輸出が1億㌦に満たないが、新たな施設をもとに有望な輸出産業に育ててほしい。韓国文化を世界に広める新たな武器にもなるだろう。(S)