栄枯盛衰は世の慣わしである。時とともに栄えるものがあれば、衰えてしまうものもある。産業界においても同様で、かつては繊維や履物、かつらが韓国経済を支える輸出産業であったが、いまでは電子製品や自動車などに取って代わられている。だが、この30年ほどは産業内に新陳代謝がみられず、新しい産業を求める声が起こっている。
最近、全国経済人連合会が興味深い調査を行った。過去50年間に韓国の10大産業で売上高トップの企業の設立後の存続期間を比較したもので、サムスン電子(半導体)45年、LG電子(家電)56年、現代自動車(自動車)47年、ポスコ(鉄鋼)47年、現代重工業(造船)41年、SKエナジー(石油精製)52年、LG化学(化学)67年、サムスン電機(電子部品)41年、新世界(流通)84年、CJ(食品・飲料)61年となっている。
これら企業は、各産業で長期間にわたり国内トップの座にあるが、これに対して「新たに1位に浮上する企業が少ないのは、中小企業が大企業に成長する環境にないからだ」という指摘がある。
また、韓国の10大輸出産業はこの30年ほどほとんど変わっておらず、輸出産業に成長する新たな産業が育っていないという問題もある。
いま10大輸出産業には、半導体や船舶海洋構造物、鋼板が35年連続してランクインしている。石油製品は28年、自動車、コンピューターは26年、合成樹脂は17年連続だ。これは新たな産業が主力産業に成長できずにいることを示している。全経連関係者は「新しい産業パラダイムを創造するために航空・軍需・製薬などの産業に関心を持つ必要がある」と強調した。
いま、韓国の最も大きな政策課題は雇用率の引き上げだ。そのためにも新たな産業が生まれ、育つことが必要だが、トップ企業となる産業はすぐには生まれない。5年、10年のスパンで取り組まなければならないだろう。職種も米国には3万ほどあるといわれるが、韓国は1万にすぎない。新たな職種をつくる対策も講じてほしい。(S)