韓国でも最近、現代史を知らない若者が増えたといわれる。大学修学能力試験(日本のセンター試験に該当)で韓国史が必修科目から外れて選択科目になった影響が大きいとされている。
中学・高校生の半数以上が、韓国戦争がいつ起きたか知らず、韓国戦争そのものを知らない若者も20代以下で23%もいるという数字は確かにショッキングであり、韓国人としてのアイデンティティーを確立するためにも、歴史教育の再構築が求められていると思う。
韓国ではいま、韓国史を必修科目にしようとの100万人署名運動が展開されている。
その韓国史の中に在日密集地の京都ウトロ地区を入れようという署名運動が、韓国のソ・キョンドク誠信女子大教授が中心となり、京都の韓国学校や韓人会関係者、同地区の住民などが協力して取り組んでいる。在日史の一断面を知るためにも、ぜひ実現してほしい。
京都ウトロ地区とは1941年頃、旧日本軍の飛行場建設のために強制徴集された韓国人が集まって住んだ京都府宇治市にあるウトロ地区のことだ。
同地区の住民は、日本の敗戦後も、上下水道施設もない環境で60年間を生きてきた。土地の所有権が日本の企業間で転売され、ウトロ地区の住民に強制退去命令が出され、住民は裁判で対抗した。
2005年、この事実が韓国内に伝えられると「ウトロを支援する」キャンペーンが行われ、韓国政府が土地買収資金を援助し、強制退去は免れた経緯がある。韓日の不幸な現代史を象徴する地区といえるだろう。
最近では、修学旅行や研修旅行などで日本を訪れた際、同地区を訪れる韓国の若者たちもいると聞く。
韓国史を理解するためにも在日史は切り離せない。ウトロを一つの例として、在日の歴史を学ぶ運動を広げてほしい。(L)