高度成長を誇った韓国経済がここ数年、2%台の低成長に鈍化する一方、青年失業率は8%台に急上昇している。リーマン・ショックや欧州発の債務危機など世界経済悪化のせいだが、最近では円安や中国の成長鈍化などの影響もある。だが、それだけではない。韓国経済が抱える構造的な問題に原因があるとの指摘もなされている。それも財界首脳からである。
全国経済人連合会の許昌守会長は、済州道の財界人夏季フォーラムで、韓国経済の現状を危機と表現し、「この経済危機は一時的な衝撃ではなく、構造的な成長エンジンの下落に原因があり、これまでの経済成長を可能にしたやり方では克服できない危機だ」と主張、新しい成長パラダイムを提案した。その突破口として「知識価値と創意性を極大化する新たな経済モデルが必要だ」と力説した。
知識価値と創意性――。これを考える上で一つのヒントがある。
「国際科学オリンピック」という、世界の高校生らが頭脳を競い合う大会がいくつかの競技で毎年もしくは数年に一度開かれているが、韓国の若者たちは今年開かれた物理と化学のオリンピックで相次いで総合優勝した。昨年は数学と地学でも優勝している。数学では、OECD(経済協力開発機構)が満15歳の生徒47万人を対象に行った「学業成就度国際比較研究」で韓国が加盟34カ国中1位だった。
さらに、4年に1度開かれる国際技能オリンピックで韓国が優勝常連国であり、今年の大会では18回目の総合優勝を果たした。もはや、突出した1人や2人の成果ではなく、近年躍進著しい韓国女子ゴルフのように裾野が広がっている。
知識と技能の蓄積は経済活動の基礎であり、科学オリンピックの相次ぐ優勝は、未来への可能性を広げるものだ。韓国の誇るべきこのような人的資源の効果的な活用を可能にする産業構造の再編が必要ではないだろうか。(S)