朴槿惠大統領は、「経済復興」と並ぶ最重要国政目標として「文化隆盛」を掲げている。果たして文化が隆盛するというのは、どんな状態をいうのだろうか。劉震龍・文化体育観光部長官は、最近のフォーラムで「文化は幸福を呼び込み、経済を活性化させ、国民の心を開かせて国の品格を高める」とその価値を定義した。ジェロム・パスキエ駐韓フランス大使は「文化は国民の幸福を追求する最も重要な要素」と強調した。つまり、文化隆盛は豊かな社会の実現を意味するが、そのためには何をすべきだろうか。
歴代大統領の中で最も文化の重要性を強調している朴大統領は最近、ある文人らとの会合で「新政権が追求している創造経済も、ベースには人への関心と愛がなければならないし、人文学的な想像力が重要だ。私も以前苦しくて辛い時期を過ごしたとき、古典や人文学を通じて立ち直る元気をもらった」と話した。
人文学は、人間と人間の行為の結果を研究対象とし、哲学、文学、美術、宗教など多岐にわたる。人類が作り上げてきた精神的遺産である。このような人文学を大切にし、育むことはとても重要なことだと思う。豊かな人文学の土壌があってこそ、個人も国も成熟した発展を遂げることができるからだ。
幸い、韓国5000年の歴史を振り返れば、燦然たる文化遺産が数多い。世界記録遺産にも登録された高麗時代の「八万大蔵経」などはその代表だろう。最近では「韓流」と称される文化コンテンツが世界に韓国のブランド価値を高めており、文化と産業の融合した新時代を切り開けるという自信感も高まっている。
だが、課題は山積している。国民の文化基本権を保障する「文化基本法」制定や文化予算2%達成などもまだ実現できていない。大統領直属の文化隆盛委員会がいま、文化隆盛対策を講じているが、「文化立国」をめざす気概で世界に誇れるものを提示してほしい。(S)