2020年夏季五輪・パラリンピックの東京招致が決まった。2度目の東京開催であり、招致を心から祝福するとともに、大会の成功を期待したい。
アジアでの夏季五輪開催はこれが4度目になる。1964年東京五輪は、戦後の復興を象徴した。88年ソウル五輪も、韓国戦争からの復興と経済発展を象徴していたし、08年北京五輪も中国の発展を示した。五輪を契機に、3カ国とも世界における存在感を大きくし、アジアの時代を印象付けた。
しかし、7年後の東京五輪は違う。日本は経済・社会ともにすでに成熟化しており、それにふさわしい「成熟五輪」が求められている。世界中から集まる人々に、成熟した東京、そして日本を感じてほしいが、そのためには課題がいくつかあるだろう。
五輪のシンボルが5大陸の結びつきを象徴しているように、五輪は「平和の祭典」でもある。ぎくしゃくしている韓国・中国との外交問題解決に向けて努力し、歴史認識を共有化し、未来志向の関係を築いてほしい。
東京五輪では、3カ国の選手が肩を組んで行進し、観客が熱い拍手を送る光景を見たいものだ。またパラリンピックにも、しっかり目を向けたい。都市整備はもちろん、心のバリアフリーも進めてほしい。
多民族共生社会に向けた取り組みも大切だ。世界中の人々と接する中で、異文化を積極的に受け入れ、グローバルな視点を培う契機にしたい。五輪開催国でヘイトスピーチ(憎悪表現)のようなデモが行われることは、あってはならないだろう。
アジアでは2018年平昌冬季五輪、2020年東京夏季五輪と、2大大会が相次いで開かれる。韓日スポーツ団体は早くも協力を表明した。どちらも成功裏に終え、パラリンピックの佐藤真海選手がプレゼンで述べたように、「五輪の価値である友情、尊敬を広く共有する」大会になってほしい。(L)