ハングルをテーマにした現代舞踊を見たことがある。ダンサーが文字の形を身体で表現しながら、その歴史を伝えるもので、ハングルがいかに韓国人に愛されているかを実感させてくれる舞踊だった。
さて10月9日は、誕生から567周年を祝う「ハングルの日」だった。ハングルの国際的地位の高まりを受けて、23年ぶりに公休日として復活した。記念式典やイベントが国内外で開かれ盛況を博したが、ハングルの科学性・優秀性を再認識し、先人の努力に思いをはせる良い機会だろう。
ハングルを作ったのは、朝鮮王朝第4代の王である世宗だ。朝鮮王朝で使用されていた漢字・漢文では表現できない韓国語が多く、また民衆は漢字を知ることが出来なかったため、世宗は日常生活に活用できるハングルをつくり、その目的と開設を記した「訓民正音」を1446年に編纂した。
民衆が文字を知ると、自分たちの利益が脅かされると有力両班(貴族階級)に激しく抵抗されたため、作業は秘密裏に行われ、ハングル創製まで困難を極めたという。
野間秀樹・前東京外大教授が著書で強調しているように、ハングル誕生は「知の革命」「知の変革」を韓半島にもたらした。
ハングルはローマ字のように子音と母音に分かれ、これらを組み合わせて表記する。24の基本字母と16の複合字母の全部で40の基本字母で全ての音を表記する、世界にもまれな言語といわれる。97年には「訓民正音」がユネスコ世界記録遺産に登録されるなど、世界的にも評価が高い。
最近は韓流効果で、日本をはじめ韓国語を学ぶ外国人が急増。全世界で7900万人が使用しているという。来年はソウルにハングル博物館もオープンする。
その一方で、最近は若者などの韓国語の乱れも指摘されている。韓国語の国際化時代にふさわしい、ハングルの発展を望みたい。(L)