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2013/10/18

<鳳仙花>◆第2の通貨危機の悪夢◆

 最近の韓国経済に危険な兆候がみられる。熊津とSTXグループに続いて、東洋グループも資金不足で経営危機に陥った。いずれも中堅財閥であり、その影響は大きい。1997年の通貨危機を前に、資金難で財閥企業が相次いで倒産し、韓国経済全般を揺るがしたが、まさにそれと似たようなシグナルが点滅していると懸念する声も強まっている。通貨危機の教訓は忘れ去られたのか、と心配になる。

 通貨危機を象徴する大宇グループ解体は通貨危機直後に発生したが、それ以前に韓宝鉄鋼、三美、眞露、大農、起亜グループが相次いで不渡りを出し、経営破綻した。これは投資に対し収益が大幅悪化したためだが、共通するのは借金体質のもとで突き進んだ拡大路線の行き詰まりだ。つまり、銀行から巨額の融資を受け、相互に関連のない業種にまで経営を拡大したことが経営破綻の原因だった。

 今日、16年前の過ちが繰り返されていると思わざるを得ない。「サラリーマン神話」といわれる尹錫金(ユン・ソックム)会長が一代で築き上げた新興財閥、熊津グループが端的な例だ。企業買収を重ね、環境生活、太陽エネルギー、素材、建設、食品、金融など相互に関連のない分野に進出し、極東建設の買収が致命傷になった。借金による事業拡張で負債総額は9兆ウォンを超え、返済不能となった。

 もちろん、通貨危機の直接的な要因は経常収支の大幅赤字と底をついた外貨準備高だった。現在は大幅な経常黒字と3000億㌦を超す外貨準備高を誇る。だが、楽観は禁物だ。通貨危機直前にも政府は韓国経済に対し楽観論を披歴していた。兆候があるこの時点で警戒する必要があり、銀行も監視を強化すべきだろう。

 韓国の財閥は、かねてから問題になっている「タコ足」式事業拡張を一向に改める気配がない。これを機会に、業種別専門性を推し進め、借金体質と低い収益構造を改善する改革に取り組んでほしい。(S)