韓国の食文化を代表するキムチが日本の和食とともに、ユネスコ(国連教育科学文化機関)の無形文化遺産に登録される見通しとなった。フランスの美食術、地中海料理などに続いて世界5、6番目の登録だ。韓国食文化を世界に広めるまたとない好機といえよう。
韓国人にとって食卓にキムチがないのは、フランス人にとってワインとチーズがないようなものだが、キムチは世界にアピールする十分な価値がある。栄養価が高いだけでなく、健康にも優れた発酵食品であるからだ。キムチ1㌘の中にはヨーグルトと同じ乳酸菌が8億個も含まれており、キムチを食べると善玉菌が増え、がんなどの病気にかかりにくくなるという。
また、韓流ドラマなどでもよく話題になるのが、韓国人女性の肌の美しさだ。キムチに豊富に含まれる各種ビタミンが、体内の新陳代謝を促し健康な肌を保ち、さらに唐辛子に多く含まれるカプサイシン効果で肥満防止にもつながる。改めて食品価値の大きさに納得がいく。
キムチの種類は白菜、キュウリ、大根など300以上に及び、地域、家庭ごとに味付けに違いがあるが、越冬のため隣近所が協力して大量のキムチ作りを行う「キムジャン」は年末の風物詩になっている。今回「キムチとキムジャン文化」として登録が勧告された。食品としてのキムチそのものだけでなく、「韓国人の分かち合い精神と共同体文化の象徴」としてのキムジャン文化も含めて、無形文化遺産としての価値が認められたのは意義深い。
キムチは外国でも食されるようになっており、特に日本の食卓に並ぶケースが増えている。実際、日本での生産量はすでに浅漬けやたくわんを追い抜いて久しく、昨年のキムチ生産量は19万6000㌧で、全漬物生産量の27%を占める。本場の味を求めて韓国キムチの輸入も増えている。キムチは多くの日本人にも親しまれているわけだ。
キムチと和食のコラボレーションを想像すると、食の豊かさも膨らんでくる。食料をテーマにした2015年のミラノ国際博覧会で韓日食の競演を試み、世界にアピールしてみてはどうだろうか。(S)