モンゴル、カンボジアなどの先天性奇形、骨形成不全症(特別な原因なしに骨が簡単に折れる病)で足が不自由になった子どもを7年間、無料で手術している医師がいる。チョ・ヒョノ蔚山(ウルサン)シティー病院院長(68)だ。
チョ院長が無料手術の奉仕を決心したのは、2008年6月、蔚山医療団の一員として、モンゴルのウランバートルにある保健所で国際医療サービスを行ったことが契機だ。韓国と比べて20~30年医療水準が遅れ、治療が受けられないでいる子どもを多数見て、「医師として胸が詰まる思いだった」と振り返る。そして難病でも笑顔の子どもたちを見て、自分がやらなければと決心したという。
その年の10月には、骨形成不全症の8歳の少女と、脳性まひの後遺症で歩くことが難しい12歳の女の子の2人を蔚山に招待して手術した。手術費と2カ月間の入院費はすべて無料にした。
「治療を終えた子どもたちがうれしそうに走る姿を見ると、すべての苦労を忘れられた。難病治療に国籍は関係ない。手術が成功すれば、子どもたちの人生をより良く変えることができる」。これがチョ院長の信念だ。
その後も毎年6月にモンゴルを訪れ、そのたびに手術が必要な子ども2~5人を蔚山に招待して無料手術した。今まで招待して手術した子どもたちは30人に達し、今年も7人を手術する計画という。多額の費用がかかるため、周囲から反対されることもしばしばだが、韓国版「赤ひげ」先生の決意は変わらない。チョ院長に各界の支援の手が増えることを期待したい。
韓国では現在、年に50~60チームがモンゴルを訪れ、医療サービスを行っているという。韓国系の病院もモンゴルに進出しているが、難病や貧困の子どもへの医療は、なかなか出来ていないのが現状だという。経済先進国入りした韓国である。人道的国際医療支援にも、より関心が高まってほしい。(L)