先月下旬、スイスの保養地ダボスに各国首脳やグローバル企業のトップらが集まって世界経済フォーラム年次総会が開かれた。最大のテーマは所得格差の是正と貧困の解消で、所得不平等を世界経済の重大な危険要因に挙げた。富の偏在が持続的な成長の大きなリスクになっているため、世界規模で対策が急がれるというものだ。韓国も例外ではなく、格差是正が焦眉の課題になっている。
世界90カ国以上で貧困問題などに取り組む国際NGO「オックスファム」はダボス会議に向けて発表した調査報告書で「多国籍企業や最富裕層が、自らの利益に資するように政治に働きかけ、経済ルールを操り、民主主義を損なうやり方で富を蓄積している」と指摘。「貧困は格差を是正しない限り解決しない」と訴えた。クリスティーヌ・ラガルドIMF(国際通貨基金)専務理事も「経済成長の果実を極めて少数の人が享受している。これはグローバル経済の安定性と持続可能性にとってよくない」と強調している。
韓国は中産層が衰退し、貧困化している。現代経済研究院の調査によると、155万人が年間可処分所得884万ウォン以下の貧困層に位置し、可処分所得の半分を借金返済に充てなければならない現実がある。
また、統計庁などの調査によれば、昨年の韓国のジニ係数は、0・353(可処分所得基準)に悪化した。ジニ係数は所得分配度を表す指標であり、0に近いほど平等度が高い。OECD(経済協力開発機構)平均0・314より高く、加盟34カ国中の29位だった。
政府は、独占防止と公正競争を通じて富の過度な偏在にメスを入れ、教育、福祉、雇用を通じて低所得層に立ち直れる機会を与えなければならないだろう。急増する非正規職を減らす対策も緊要だ。朴槿惠大統領は新経済政策の「創造経済」を通して雇用率を高めることでこの問題の解決をめざしている。「漢江の奇跡」を実現したように、格差是正のモデル国になる気概で取り組んでほしい。(S)