統計庁の最新データによると、韓国の人口1000人当たりの出生数が昨年8・6人と過去最低を記録した。1人の女性が生涯に産む子どもの平均数を示す合計特殊出生率も1・19人に下がり、超少子化の基準となる1・30人を下回った。OECD(経済協力開発機構)加盟国の中で最も低い水準だ。
超少子化時代に逆戻りしたのには政府の油断もあった。2005年に出生率は1・08人まで落ち込んだが、その後回復し12年には1・30に達した。これにより、政府は今年初めに「超少子化国を脱出した」と発表した。ベビーブーム世代を親に持つ人々が31~34歳に達し、結婚・出産が急増した一時的現象であることを見落としたからだ。
ある社会が現在と同じ人口水準を維持するには、出生率が2・1以上必要とされるが、韓国はその半分にしかならない。この傾向が続けば人口減少で経済発展も望めなくなる。人口減少は労働力不足や消費減少につながるほか、経済規模が縮小、景気低迷で税収の減少を招き、福祉政策の全面見直しも避けられなくなるからだ。何としても少子化に歯止めをかけなければならない。
経済発展を決定づける要素として人口、国土面積、資源などがある。だが、広大な国土面積や資源があっても、これを開発し有効活用する人口と能力がなければ発展しないので、人口問題こそが経済発展の根幹をなす最重要要素とされる。韓国がこれまで狭い国土、乏しい資源のなかでも急速な発展を遂げたのは、有能で豊富な人的資源があったからだ。このことを思い起こしたい。
もちろん、出生率向上のため政府も「仕事と家庭の両立政策」を進め、保育手当て支給などで育児環境を改善する努力を傾けてきた。だが、依然と「出産及び養育費負担」や「雇用不安」など経済的要因で出産を見合わす家庭が少なくない。出生率回復に成功したフランスや北欧諸国などの例も参考に、お金がかからない教育環境づくり、安定的雇用、企業の協力など総力を傾けて多産も可能な環境改善に取り組んでほしい。(S)