パソコンを使って描いた設計図どおりの立体を作製できる3Dプリンターが注目されている。「夢のテクノロジー」とか「21世紀の産業革命」と呼ぶ人もいる。日本でこの3Dプリンターを使い樹脂性拳銃を製造して物議を醸したが、この未来技術は今後産業現場を一変させる可能性を秘めている。韓国も遅ればせながら本格的な育成に取り組み始めた。
3Dプリンターの歴史は実は長い。1980年代に発明され、84年に米国で初めて商用化に成功した。その後、近年に入り様々な分野に応用され、オランダからは3Dプリンターによる住宅建設着工といったニュースまで伝わっている。「21世紀の製造業は、アイデアとパソコンさえあれば誰もが自宅で始められる」のも夢ではなさそうだ。
韓国では、政府が昨年12月に発表した「第5次国家情報化基本計画」の中に3Dプリンターの新技術を公共部門や既存産業に取り入れることが盛られている。政府として育成するということだ。これは朴槿惠大統領が掲げる「創造経済」とも合致し、積極的に取り組むべきだろう。
今年4月には3Dプリントセンターを開設し、中小企業での活用を勧奨する計画が発表された。既存の機械や鋳造機その他の道具で1つの試作品を作るのに数百万ウォン、時間にして数カ月かかるのに対し、3Dプリンターでは安価な材料費で一晩で完成可能だ。中小企業の研究開発コストが大幅に軽減され、活力を生み出すだろう。さらに教育面では高校や大学でのソフトウエア授業でこの技術を使った新産業の模索も始まった。
実際の成果も報告されている。昨年、ソウル聖母病院の医療チームと浦項工科大学校の研究チームが、3Dプリンターで製造した気道の支持体を6歳の男児に移植した。世界的にも珍しい成功例だ。
世界の3Dプリント市場で韓国のシェアはまだ2%台。これを2020年までに15%に引き上げ、産業の活力に結び付ける計画だ。かつて政府の育成策で成功した半導体のように、3Dプリンター技術の育成を通じて新たな市場を切り開いてほしい。(S)