韓国サッカー界の英雄、朴智星(33)が、ついにユニフォームを脱いだ。24日の引退試合は、別れを惜しむファンで一杯だった。改めて「ありがとう!朴智星」と言いたい。
現役引退の直接の理由は、長年苦しめられてきたひざ痛だ。W杯代表への復帰を洪明甫代表監督に打診されながら断ったのも、それが理由だった。今年の2月から引退を考え始めたという。
「引退に後悔はない」と答えた朴だが、けがさえなければあと数年は活躍できたと思うと、残念でならない。
朴がサッカーを始めたのは小学4年生の時だ。水原工業高校在学時に全国優勝するも、Kリーグのドラフトには選ばれなかった。身長175㌢と小柄な身体が敬遠されたという。地元のプロチーム水原2軍の入団テストを受けたが落ちるなど、無名選手の悲哀を味わった。
しかし、明知大学校の金熙泰監督に才能を注目されて運命が変わった。U-23(23歳以下)の韓国代表に選ばれ、2000年には京都パープルサンガに19歳で入団。02年W杯では当落線上にいたが代表に選ばれ、ベスト16進出をかけたポルトガル戦で決勝点となるボレーシュートを決めるなど、4強入りの立役者になった。その後は英プレミアリーグの名門マンチェスター・ユナイテッドで、アジア人選手として初めて成功するなど、輝かしい実績を残した。
朴が愛された理由は、実力だけでなく、素朴で実直な人柄にもあった。日本のファンにも愛され、韓日関係が悪い時でも、彼を中傷する人は決していなかったという。
最近は朴智星財団を設立して、アジアの貧しい国の子どもたちのためにサッカー支援を行っている。多くのサッカー少年にとって「輝ける星」のような存在だろう。
朴は、「今後はこれまで受けてきた声援にどう報いるか、考えながら生きていきたい」と述べた。将来は指導者の道を歩むともいわれる。韓国そして世界のサッカー発展に尽くしてほしい。(L)