サッカー・ワールドカップ(W杯)ブラジル大会が、いよいよ開幕する。韓国代表を率いるのは、韓国サッカー界のカリスマといわれる洪明甫(ホン・ミョンホ)監督だ。現役時代はアジアのリベロと呼ばれ、02年韓日共催W杯では韓国のベスト4進出に貢献。現役引退後は12年ロンドン五輪で監督として、銅メダルを獲得している。
今大会では、その洪監督が指導してきた、いわゆる「洪明甫チルドレン」の活躍が期待されている。韓国は前回の南アフリカ大会では、決勝トーナメントに進出した。今大会はベスト8入りを狙う。その手腕に注目したい。
特に今回、韓国代表は、世越(セウォル)号沈没事故で沈痛な雰囲気にある韓国社会に、活気を取り戻させる役割を担っている。過去、スポーツ選手の活躍は韓国民に大きな勇気を与えてきた。90年代後半、アジア通貨危機で経済危機に陥り、多くの国民が打ちひしがれる中、当時20歳の朴セリが米メジャー大会の全米女子プロで優勝、国全体が勇気付けられたことは記憶に新しい。
02年W杯当時も、グローバル経済が進む中で若者の就職難が表面化していた。そのような社会状況下、各地で大規模な街頭応援が繰り広げられ、韓国代表の快進撃に多くの国民が力を得た。
今回、ソウル市庁前の街頭応援は、世越号犠牲者の献花台が設けられていることもあって自粛、別の場所を検討している。
韓国代表応援団のレッドデビル(赤い悪魔)は、「We are Korea」(我々は大韓民国だ)のスローガンで臨む。これはW杯9回出場という偉業を表現すると同時に、世越号惨事を克服する意味も込められている。また「SEWOL 14 04 16」のプラカードも作り、犠牲者を追悼する黄色いリボンを付けて応援するという。代表選手らは、このような国民の願いに応え、頑張ってほしい。4強進出を実現して、02年W杯の時のような奇跡を起こしてもらいたい。(L)