韓国の多文化家族を描いた映画『マイ・リトル・ヒーロー』は、公開当時に大きな話題を呼び、いま日本でも公開中だ。また外国人労働者と韓国人女性の愛を描いたミュージカル『パルレ』が国内で再演を重ね、日本でも上演されるなど、韓国の多文化家族への関心が高まっている。
韓国政府が7月に発表した統計によると、韓国の外国人住民は約157万人(今年1月1日現在)で人口の約3%を占める。結婚移民者は約30万人で前年比5・2%増(約1万5000人増)。このうち女性は83・5%になる。多文化家族は現在約79万人だが、2020年には100万人に達すると予想される。
日本に先んじて外国人労働者や結婚移民を迎え入れ、多文化社会を推し進める韓国だが、いま新たな問題に直面している。多文化家族の高齢化に伴う、経済的問題の深刻化だ。多文化家族が登場し始めた90年代初め、韓国人の夫と外国人の妻の年齢差は20歳前後だった。徐々に年齢差が縮まってきたが、それでも2012年の年齢差は平均9・1歳だ。家庭生活が安定する頃には、韓国人の夫は経済活動から引退する年齢になる。
しかし、子供の教育費など経済的負担は逆に増え、結婚移民の外国人女性たちが家庭を支えなければならなくなる。また離婚、別居、死別などで、韓国で一人もしくは母子で暮らす多文化家族も急増しているという。女性家族部の調査によると、多文化家族の女性たちの雇用率は53%(12年)。単純労働やサービス業が多く、専門職はごくわずか。長期雇用も少ないのが現状だ。言葉の壁と専門技能を持たないことが、安定した仕事に就くことを阻害している。
政府は職業訓練、子どもたちの奨学金支援などを取り入れているが、厳しい現状に追い付いていないという。多文化家族の経済的自立は、本人たちのみならず、韓国社会の安定と社会的統合に直結する。より一層の支援策を期待したい。(L)