韓国の歴史的英雄、李舜臣将軍の活躍を描いた映画「鳴梁」が公開12日の最短期間で観客動員1000万人を突破し話題を呼んでいる。朴槿惠大統領はじめ国会議員や経済人、さらには小中学生まで年齢層を問わずに見ており、最終的には2000万人を突破する韓国最大のヒット作になるのは間違いない。映画だけでなく、李将軍の関連書籍が飛ぶように売れ、「鳴梁」ブームというべき現象が起こっている。何が人々を惹きつけているのだろうか。
時は1597年。壬辰倭乱(文禄・慶長の役)で朝鮮水軍を率いた名将、李舜臣将軍が、たった12隻の船で330隻の豊臣秀吉軍を破った海戦「鳴梁大捷」を描いた戦争アクションだ。評判を呼んだのは、李将軍を今日に甦らせた名優チェ・ミンシクの迫真の演技、緻密に描写された戦闘場面など映画の質だけにあるのではない。
大軍を前にした恐怖で、将兵らはみな打ち震えていた。だが、李将軍は「死即生 生即死」(死のうと思えば生き、生きようと思えば死ぬ)と訴え、恐怖を勇気に変えた。単なる精神論だけでもない。兵法の戦略戦術を駆使し、100隻の偽装船で敵の目をくらませたり、竜巻が起こる海流を利用したり、ボトルネックのように狭くなる鳴粱海峡に敵を誘い込んで叩く作戦が勝利を導いた。
観客の多くは、危機的状況でも決して諦めず、不可能を可能にした李舜臣将軍の類まれなリーダーシップに改めて魅せられたのである。与党セヌリ党の金武星代表は「国家が危機に陥った際、李舜臣将軍のリーダーシップや自己犠牲、率先して模範を示す姿、国を思う愛国心が印象的な映画」と語った。
今、韓国国民は、景気後退、沈没船事故などで意気消沈し、現実の困難を打開する不屈の精神を備えたリーダーを求めている。そこに百折不撓(何度失敗しても志を曲げない)の指導者、李舜臣将軍の姿を見たのである。各界の指導者は、国民の不満と望みを的確に読みとるためにも、李舜臣将軍のリーダーシップに学んでほしい。(S)