数学界最大の会合であり、100年以上の歴史をもつ「世界数学者会議」が先ごろ韓国で初めて開かれた。世界有数の数学者ら5000人が100カ国から参加し、最新の研究成果を発表したが、基調講演を行ったのは黄準黙(ファン・ジュンムク)・高等科学院教授で、韓国人が基調講演するのは初めてだった。また、韓国人数学者の招待講演も過去最多の5人にのぼった。ソウルでの開催ということもあるが、韓国数学界は大いに刺激になったはずで、数学のノーベル賞と呼ばれる「フィールズ賞」獲得の契機になると期待したい。
実は、韓国の生徒たちの数学の実力はすでに世界的に認められている。2年前、世界の高校生の英才による競演の場である「国際数学オリンピック」で韓国が初めて総合優勝した。また「数学・科学成就度の推移変化の国際比較研究」で、韓国の中学2年生は1995年以降2、3位のトップクラスにある。OECD(経済協力開発機構)が世界の満15歳の生徒47万人を対象に行った09年の「学業成就度国際比較研究」では、韓国の生徒が数学で加盟34カ国中1位だった。
だが、どういうわけか大学以降は陰りをみせ、フィールズ賞を受賞できる数学者もいない。数学を学問でなく、入試道具とみなす風潮のせいだという指摘すらある。
数学は、量、構造、空間、そして変化の研究であり、今日の文明を背後から支えているのが数学である。都市生活の基盤となっている電気、ガス、水道、あるいは鉄道、自動車、航空機などの交通機関、電話、テレビなどの通信機関、人工衛星やコンピューターなどいずれも数学を用いずに設計・製作することはできない。先月、米国が勤務環境や収入などを基準に200の職業を評価したところ、数学者が「今年最高の職業」に選ばれたのも、それだけ重要な役割があるからだろう。
フィールズ賞は、数学における「難題の解決」が受賞要件だ。政府研究機関の高等科学院が2年前から数学の難題解決センターを設け、研究に取り組んでいるが、若き英才たちの才能を伸ばし切る環境づくりも大切だろう。(S)