新型コロナウイルスは、世界のバレエ団にも暗い影を落とした。パリ・オペラ座バレエも昨年、公演中止に追い込まれ、厳しい感染対策を講じて今年6月に『ロミオとジュリエット』で再開した。
その公演で韓国出身のバレリーナ、パク・セウンさん(32)がジュリエットを演じて繊細な表現力で好評を博すとともに、9月からの新シーズンで最高位のエトワールに任命された。アジア人ではパクさんが初めてだ。
パリ・オペラ座バレエは1669年に創設された世界最古のバレエ団で、世界最高峰の3大バレエ団の一つである。入団することさえ難関で、現在の団員数は約150人。ダンサーの階級は5段階に分けられ、エトワールは10数人に過ぎない。
パクさんは、西洋人より見劣りする体形、オペラ座のバレエスタイル、そして言語の壁に突き当たりながら、10年間、厳しいトレーニングを繰り返し、自らの表現力を追い求めた。「人の心を動かすことがバレエには重要だが、それを探すのに多くの時間がかった」と振り返った。
バレエを学ぶ韓国、日本、そして多くのアジアの若者にとって、パクさんのエトワール昇進は大きな励みとなるだろう。
パクさんは1989年ソウル生まれ。韓国国立バレエ学校に10歳で入学。07年にはローザンヌのバレエ・コンクールでグランプリに輝いた。10年ヴァルナ国際バレエコンクール金賞、18年ブノア賞最高女性ダンサー賞など、数々のコンクールで受賞を重ねた。11年にパリ・オペラ座バレエ団に1年間の契約で入団。翌年に正式メンバーとなった。
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