東京五輪でテコンドーの全階級(男女各4階級)の試合が終わったが、韓国は歴代五輪で初めて金メダルがゼロとなった。銀1、銅2を獲得するにとどまり、発祥国だけに衝撃が大きかった。代わって、ウズベキスタンやタイ、セルビアなどが金メダルを獲得、台湾、チュニジア、ヨルダン、北マケドニア、トルコの選手も表彰台にのぼった。いずれも五輪メダルと縁遠い国・地域だ。このような背景に「韓国の武術であるテコンドーが世界化に成功したためだ」という見方がある。
スポーツとしてのテコンドーは1950年代以降に韓国で定着。試合は、胴プロテクターとヘッドギアの防具を着用し、防具の上のみを攻撃する。胴体へはパンチと蹴りの両方、頭部は蹴りのみが可能だ。88年のソウル五輪で公開試合が行われ、2000年シドニー五輪から正式競技に採用された。当初は韓国の独壇場だったが、華麗な足さばきやスピードが見るものを魅了し、五輪採用を契機に国際競技として発展してきた。
現在、210カ国が国際テコンドー連盟に加盟しており、競技人口は1000万人近い。米国や欧州諸国のみならず、アフリカ、中東で競技人口が飛躍的に増加。そのため、競技レベルが国際的に向上した。今大会にも61カ国・地域の選手が出場した。
米ニューヨークタイムズ紙は「テコンドーが五輪でメダルを取れない国の希望になった」と報じた。
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