全羅北道(チョルラブッド)・全州(チョンジュ)は後百済(フペクチェ)の都であり朝鮮王朝の太祖・李成桂(イ・ソンゲ)の縁の地で、1300年の歴史と伝統の街だ。なかでも韓国の伝統文化を代表するのが、全州韓屋村。韓国式家屋800余棟が群落し、韓屋村としては最大規模で、実際に人が暮らしながら街並みが保存されている。
太祖・李成桂の真影が祭られる慶基殿(キョンギジョン)、その書庫に保管されていた朝鮮王朝実録は世界文化遺産にも登録された。朝鮮王朝最後の皇孫である李錫(イ・ソク)氏の家、承光斎(スングァンジェ)。李錫氏が滞在したオンドル部屋で宿泊し、伝統宮中の韓定食や宮中茶道が体験できる。
王族が宴を開き朝鮮創建を知らせたという梧木台(オモクデ)、高麗(コリョ)時代に建てられたという儒学校の全州郷校(ヒャンギョ)、書道芸術1000点余が展示される学忍堂(ハギンダン)など、文化遺産が多く散在し、韓流時代劇の中にタイムスリップした気分になる。
全州はパンソリのメッカでもある。伝統文化センターでは、パンソリ・舞踊・伝統婚礼など文化公演を観覧し、体験することができる。
食は全州にあると言われるが、その代表が全州ビビンバだ。牛スープで炊いたご飯を真鋳製の器に入れ、牛肉、モヤシ、ほうれん草、春菊、ワラビ、椎茸など20種以上の具を盛りつける。そして、モヤシスープと一緒にいただく。混ぜれば混ぜるほど味わいが深くなる。
全州は文字通り歴史と伝統文化、食を楽しめる街だ。
(取材=東洋経済日報大阪支社・金珍吾)