アジア最多となる8回のW杯出場を誇る「アジアの虎」韓国。近年はヒディンクなど外国人監督を起用してきた韓国だが、今大会は韓国人の許丁茂(ホ・ジョンム)監督が采配を振るう。また、英プレミアリーグのマンチェスター・ユナイテッドで存在感を示している朴智星(パク・チソン)を筆頭に、朴主永(パク・チュヨン)、奇誠庸(キ・ソンヨン)ら欧州組、J1鹿島の李正秀(イ・ジョンス)、ベテランの安貞桓(アン・ジョンファン)ら、実力のある選手たちが揃っている。一次予選B組で当たるアルゼンチン、ギリシャ、ナイジェリアの戦力分析と注目の選手にスポットを当てる。
W杯予選では無敗で本戦行きチケットを手に入れた韓国代表。若手とベテランのバランスの取れた代表23人で構成され、グループリーグ突破をめざす。2002年のW杯韓日共催以外での韓国の成績は、1勝5分11敗。アジア勢全てが予選敗退した前回06年ドイツ大会のようにならないよう、アジア一の運動量と精神力で、アジアの虎が自国開催以外初の1次リーグ突破を狙う。大手ブックメーカーの予想では、グループ4番手に位置しているが、チーム力と選手層の厚さではギリシャやナイジェリアにも引けを取らないと評価されている。
今回の代表チームは、W杯予選でチーム最多の5得点をマークした朴智星を中心に、次世代MFとして期待される奇誠庸、PSVやトットナムなどでの国際経験がある李栄杓(イ・ヨンピョ)、3大会のW杯を経験しているGK李雲在(イ・ウンジェ)など、ベテランから新世代まで選手層の厚さが最大の特徴だ。特にチームの司令塔とも言える朴智星の存在が大きい。中盤ならどこでもこなせるスタミナの持ち主で、攻撃では果敢な攻撃で相手DFをかいくぐってチャンスを作る。そして、自らもゴールを奪う。守備においても、「ダイナモ」と呼ばれる無尽蔵のスタミナでハードな動きにも対応する。チーム内で一目置かれる朴智星が自ら積極的なプレーをすることで、全員にその意識が浸透。これが韓国の総合力を飛躍的にアップさせている。
注目すべきは朴智星だけではない。目覚ましい勢いで若手が台頭している。FW朴主永はモナコ、MF奇誠庸はセルティック、MF李青龍(イ・チョンヨン)はボルトンと、若手が次々に欧州進出を果たし、その経験値がチームに還元されている。さらに、Jリーグでプレーする李正秀(鹿島)や金甫炅(キム・ボギョン、大分)も加わり、アジア屈指のタレント軍団である韓国は、世界と渡り合えるだけの素養が十分にある。
若手の中では特に、朴智星と並ぶ攻撃の2枚看板である朴主永の活躍が期待される。創造力に富むプレーと巧みなボールコントロールが持ち味で、フリーキックが得意なことでも知られる。
朴主永は05年にFCソウルに入団、同年18ゴール、4アシストを記録し、リーグ得点2位と新人王、ベストイレブンに輝き、20年に一度の逸材と高い注目を集めた。08年のシーズン途中にはフランスの名門ASモナコに移籍した。代表デビュー戦や、韓国のW杯出場が懸かったアラブ首長国連邦(UAE)戦で得点を決めるなど、ここ一番の大勝負に強い選手としても有名な朴主永。前回2006年W杯ドイツ大会1次リーグのスイス戦に先発出場、08年の北京五輪カメルーン戦では得点を挙げている。今回のW杯予選では12試合に出場して4得点をマーク。実践での活躍に韓国サッカーの未来を担うストライカーとして期待が集まる。