◆ユーロ安とルーブル暴落、収益を直撃◆
厳しい局面に立たされている韓国経済は、ユーロ安ウォン高の影響を受けている。欧州の主要企業がユーロ安を背景に輸入製品の販売価格を引き上げ、韓国企業による欧州向け輸出を圧迫している。一方において、欧州から為替で相対的に割安となった製品の対韓輸入が増えるため、欧州との貿易赤字は膨らんでいる。この構図はサムスン電子にそのまま当てはまる。ユーロ下落が、欧州における売上高・収益を直撃している。2014年のサムスン電子の売上高は、前年比全地域で減少した。大幅に減少した地域は欧州で33兆5645億ウォンから20兆8982億ウォンと実に▲37・7%であった。次いでアジア・アフリカ34兆1059億ウォンから29兆8140億ウォン(同▲12・6%)、韓国内も17兆2004億ウォンから15兆3247億ウォン(同▲10・9%)、中国13年の29兆2487億ウォンから昨年28兆3946億ウォン(前年比▲2・9%)、米国44兆2526億ウォンから43兆3940億ウォン(同▲1・9%)であった。
この結果14年の地域別売上構成は、米国(31・5%)、アジア・アフリカ(21・6%)、中国(20・6%)、欧州(15・2%)、韓国内(11・1%)の順となった。際立つのは欧州の構成比が13年から昨年6ポイントも落ちたことである(図表①)。
サムスン電子は、機材、部品・素材などの多くをウォンやドルで調達し、欧州で製品を販売すれば代金をユーロで受け取ることから、ウォンやドルに対してユーロが下落することは、調達コストが上昇する中、売上げと収益を圧迫する。これに欧州の景気低迷が加わったため、欧州市場での昨年の売上は、約13兆ウォンの減少となったのである。
個々の製品をみると、昨年の欧州携帯電話市場では、サムスン電子が全体の35・0%を占め、アップルの21・2%に差を付け、フラットテレビではシェアトップの39・7%、2位のLG電子の22・7%を合わせると韓国勢が6割を超える。洗濯機もドイツ企業ミーレのほぼ独占市場にサムスン電子が食い込むなど、欧州市場を個別の製品でみると健闘している。
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