◆中国市場は黄信号、不可避な事業再編◆
1992年8月、韓中国交正常化を契機として韓国企業による中国進出は本格化し、同年サムスン電子は、中国・広東省恵州に三星電子有限公司を設立した。2005年に「三星中国」から「中国三星」に社名を変更し、半導体、携帯電話、家電製品、重工業、建設、証券などあらゆる分野で中国に進出し、「第2のサムスン建設」という新たな戦略を展開してきた。「中国三星」は、中国を生産拠点、販売市場として活用するだけではなく、生産、販売から研究開発(R&D)、デザインまでの一貫した経営体制を完成することで、中国企業として根をおろす究極の現地化を目指している。家電、携帯電話、半導体などの巨大な消費市場として中国を見ているだけでなく、中国を世界に向けての供給基地としての位置づけが加わる。
サムスン電子は売上高の90%を海外に依存しており、海外での業績が全体をそのまま反映する。ところが企業経営成果評価サイトであるCEOスコアで14年海外法人の実績についてみると、サムスン電子の主な海外法人22カ所の売り上げは190兆9788億ウォンで前年(218兆4129億ウォン)より12・6%減少し、当期純利益も同期間に8兆5817億ウォンから7兆1354億ウォンと16・9%落ち込んだのである。すべての地域でマイナス10%以上の落ち込みという異常事態に陥っている。
中国において「第2のサムスン建設」を意気込んできたものの、昨今の中国ビジネスは思い通りに伸びていない。サムスン電子の地域別売上高比率で、12年から3年間、中国が全体売上の2割前後と横ばいで推移している。売上げが頭打ちの中国では、過去2年の売上高純利益率が3%前後と低い水準に喘いでいる。中国販売法人(SCIC)の売上げは、13年の25兆6058億ウォンから昨年16兆4520億ウォンと35・7%減少し、純利益は7434億ウォンから1600億ウォンと78・4%落ちている。中国内の携帯電話生産基地である広東省恵州(SEHZ)と天津工場(TSTC)、上海の半導体およびディスプレ-販売法人(SSS)、ディスプレ-を生産する蘇州工場(SSL)等もほぼ同じような状況である。中国でやや明るい材料は、台湾現地法人(SET)の黒字と中国西安工場(SCS)が黒字に転換したことなどである(図表)。
つづきは本紙へ