◆先が見えないサムスンの新事業◆
2010年3月に李健熙会長が復帰してから2カ月後、グローバルビジネスチャンスを先取りする必要があると強調した。翌年1月の新年会でサムスンは10年から太陽光発電、自動車用電池、発光ダイオード(LED)、バイオ製薬、医療機器を10年後の5大有望事業とし、開発を加速すると発表した。20年までに5大有望分野の売上げを50兆ウォンとする目標を掲げた。5大有望種事業の選定から5年経ち、これら事業は現在どのようになっているのだろうか。結論を先に言えば、5大有望事業のうち、ある程度期待できる事業はバイオ製薬・医療機器である。
まずバイオ製薬からみると、サムスン電子は11年にサムスンバイオロジクス(リウマチ関節炎治療剤の開発会社)を設立、12年サムスンバイオエピス(糖尿病治療剤の共同開発会社)を設立したことに始まる。金融監督院によれば、サムスンバイオロジクスの売上高は14年290億ウォン(13年4551万ウォン)を記録し、またサムスンバイオエピスの売上高は14年763億ウォンで前年437億ウォンより74・8%増加した。両社合わせたサムスンのバイオ製薬事業は、14年に初めて売上げ1000億ウォンを突破した(図表①)。しかし両社合計の営業損失は1824億ウォンに達し、売上高のほぼ倍の赤字を計上した。
15年9月、第一毛織とサムスン物産の合併の時、バイオ製薬を管轄する統合サムスン物産は説明資料を通じて、14年に1054億ウォン水準だったバイオ事業の売上げを、20年に1兆8000億ウォンまで増やすと発表した。20年までにバイオリアクター(細胞培養器)1~4工場を稼働させ、25年の売上高4兆ウォン、利益2兆ウォンを目標とした。この合併でバイオ製薬事業の集約化が図られ、効率的な投資が成長を促すと期待されている。この9月にリウマチ関節炎の抗体医薬品に韓国内の販売許可が得られ、米国の製薬会社BMSからの委託生産の拡大やスイスロッシュなどからの受注が決まれば、サムスンバイオロジクスに業績好転の余地は残されている。
バイオ製薬に関しては李在鎔副会長が、かなり前のめりになっていると伝えられ、現在750人余りであるサムスンバイオロジクスの社員を今年末まで1000人に増やし、体制強化が図られる。
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