韓国では多くの名節を陰暦で迎える風習があり、正月も、陽暦の新正月より陰暦の旧正月で祝うのが一般的だ。旧正月には家族そろって韓服を着て、供物を並べた祭壇を前に、先祖供養の祭祀をとりおこなった後に、皆で正月のご馳走を食べる。この正月料理に欠かせないのが、トックッ(餅スープ)=写真。よく日本の雑煮に例えられるが、見た目も味もかなり違う食べ物といえる。まず、餅が違う。トックッに入れる餅は「カレトッ」といって、うるち米の粉をこねて直径3㌢ほどの細長い棒状に延ばしたものを斜めに薄く切った、小判型の餅。
正月にトックッを食べる意味としては、いくつかの説がある。餅の白色が純粋無垢を象徴することから、白い餅で一年のスタートを切ることで天地万物の誕生を祝い、一年間の無病息災と福を祈願するという説。これは、祭祀のとき、祭壇に真っ白い蒸し餅を供えることにも通ずる。また、餅の形からみて、棒状に延ばすのは「財が伸びるように」、あるいは長寿を願う意味がこめられ、それを楕円形(小判型)に薄切りするのは「金銭に恵まれるように」という願いが込められているという。
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