◆国内R&D縮小、シリコンバレー拡大◆
ここ2~3年のサムスン電子のR&D戦略は、商品化研究などの短期的な研究開発を韓国内の各事業部の研究所に編入し、基礎研究などの中長期的な開発をシリコンバレーに集約しつつある。全体的にみると、韓国内の基礎研究を縮小し、シリコンバレーの研究組織に移行している。韓国での研究開発は目先の技術にほぼ絞り込まれ、シリコンバレーでは中長期的な研究と同時にM&A対象企業を選別するアンテナとしての機能を併せ持つ二極体制を構築しつつある。こうした一連の韓国内における研究体制見直しの動きは、組織に大きな変化を及ぼしている。総合技術院、グローバル技術センター(GTC)、生産技術研究所、3つの事業部の研究組織を統括していたデジタルメディアセンター(DMC)も、事実上縮小・解体された。総合技術院の場合も、すでに多くの研究員が再配置され、ここに所属していた研究スタッフも各事業部の研究所に配属された。GTCも昨年から一部の人材は、生活家電事業部の開発部署に異動し、生産技術研究所の研究員もDS(部品)部門内の研究所に移転した。
この6月米国・ワシントンポスト主催の「IoT政策フォーラム」において、權五鉉副会長は、「サムスン電子は今後4年間米国に約12億㌦を投資し、シリコンバレーの戦略革新センター(SSIC)、グローバル革新センター(GIC)、サムスンリサーチ米国(SRA)が中心となって、関連技術の開発と共にスタートアップとの協業を強化する計画」と宣言した。
これらの研究開発組織は、2014年12月サンノゼのマウンテンビュー新社屋に集結し、ソウル本社・デジタルソリューション(DS)事業部傘下のサムスン戦略革新センター(SSIC)には500名、グローバル革新センター(GIC)200名、サムスンリサーチ米国(SRA)800名の計1500人体制で、それぞれの設立年度、所属、主要機能は図表の通りである。
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