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2016/11/25

<Korea Watch>揺らぐサムスン共和国 第33回                                                              国士舘大学経営学部講師 石田 賢 氏

  • 揺らぐサムスン共和国 第33回

◆2020年までに全製品IoT化へ◆

 サムスン電子は、来年も世界経済の低迷、中国企業の追い上げなどにより、主力製品の競争が激化すると見ている。さらに製品開発のサイクルがスピードアップし、企業間競争・差別化は一層熾烈となっている。ハード面、ソフト面などあらゆる面で、新たな競争力が必要となっている。このような認識のもと、サムスングループの期待を背負っているのがモノのインターネットと呼ばれているIoT事業である。インターネットを通じてすべての機器を連結することになり、家電製品や冷暖房から自動車までコントロールする技術がIoTである。

 IoTがさらに発展すれば、顧客の好みやニーズを瞬時に把握して情報が蓄積され、オーダーメイド型サービスも可能になる。サムスングループが掲げるIoT二大軸は、家(スマートホーム)と自動車(スマートカー)に置かれている(図表)。

 李在鎔副会長は2015年をIoT元年と位置付けていた。サムスン電子のIoT基本戦略は、「20年まですべての製品をIoTに連結する」としている。

 サムスン電子の具体的な動きとしては、15年末の組織改編において、サムスン戦略革新センター(SSIC)傘下に、「IoT事業化チーム」を新設したことが挙げられる。サムスン電子が開発した基本ソフト(OS)タイゼンを軸にIoTを普及・拡大していくことを目標としている。タイゼンの使用はインド市場で先行している。

 サムスンでは社内のIoT推進力不足を補うために、攻撃的買収合併(M&A)とグローバルな資金協力も広げている。サムスン電子は14年8月にアメリカのIoT開放型プラットホームの開発強化のため米Smart Things、同年9月にカナダのクラウドプリンティング企業であるPrinter on、16年11月には次世代文字メッセージRCS(Rich Communication Services)技術を持つNewNet Canadaを買収した。

 IoT技術に人工知能(AI)が加わることで、パソコンやスマートフォンを利用して、身近な生活レベルであれば、冷蔵庫、洗濯機、エアコンなどの家電がインターネットで接続され、遠隔操作によりすべての家電製品をコントロールすることが可能となる。さらに利用した情報は蓄積・分析され、個人にカスタマイズされ、フィードバックされ、生活者に一層の利便性や安全性をもたらすと期待されている。


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