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2016/01/08

<Korea Watch>中国リスクと低成長に備えよ

◆現代経済研が報告書、2016年の経済トレンドを分析◆

 現代経済研究院は、2016年の経済トレンドに関する報告書を発表した。それによると、中国の経済力が急成長しながら世界経済と国際社会に占める地位が高まることによって、米中間の競争が激しくなる予想。アジア太平洋地域における米国主導の環太平洋経済連携協定(TPP)と中国主導の東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の2つの自由貿易協定が共存し、交易における主導権争いが加速する見通しだ。また、国際通貨基金(IMF)が中国の人民元を特別引き出し権(SDR)の構成通貨に加えることを正式決定したことで人民元は円を抜いて、ドルとユーロに次ぐ世界第3位の「主要通貨」になった。

 このことで、国際貿易と金融市場におけるドルと人民元の基軸通貨競争が加熱すると予想される。開発面では、中国を中心としたアジアインフラ投資銀行(AIIB)が浮上し、既存のアジア開発の主導権を握る米国中心の世界銀行(WB)や日本を中心としたアジア開発銀行(ADB)との緊張関係が形成される恐れがある。

 米国経済が持続的な成長を続けていることを受け、米FRBは基準金利を引き上げ、金融引き締めを本格化している。しかし、米国を除く主要先進国の回復が弱いうえ、中国の経済成長率低下が予想される。そして、米国とは異なり、欧州や日本などは量的緩和政策を継続するなど、国際金融市場の不確実性が拡大する可能性が高い。

 さらに、米国の金利引き上げ、原材料価格の下落などで外国為替の健全性が脆弱な新興国の通貨危機の可能性も常に存在する。このような状況では、17年以降に米国の景気が鈍化した場合、世界景気が長期的な低迷に陥る恐れがある。したがって、対外ショックに対する徹底した対応に加え、輸出競争力の向上と経済体質改善に向けた構造改革を持続して行うべきである。


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