◆現代経済研が報告書、国内家計収支の特徴を分析◆
現代経済研究院は、報告書「国内赤字世帯の家計収支特徴と示唆点」を発表し、所得より支出が多い国内の赤字世帯を対象に、所得に対する負債借入比率と負債償還比率を分析した。特に消費を主導しなければならない高所得層で、こうした現象が顕著になっており、内需萎縮に影響を与える懸念を指摘している。
国内の民間消費増加率が経済成長率を下回っており、消費者心理と消費環境の改善が必要な状況である。国内消費の部分で、民間部門の成長寄与度の低下幅が政府部門の下落幅よりも大きい。最終消費のうち民間部門の経済成長への寄与度は、2001~07年の2・17ポイントから、08~14年には1・07ポイントに下落したのに対し、政府部門は0・70ポイントから0・54ポイントに下落した。ここでは、国内世帯の家計収支、赤字世帯の消費構造の変化の分析を通じて政策的な示唆点を導き出してみる。
国内全世帯の家計収支はやや改善されているが、これらの背景には、平均消費性向の低下が主な要因として作用した。所得に対する家計収支比率は、10年の18・3%から14年には22・0%に上昇した。所得比の家計収支の改善は、国内消費の萎縮により、平均消費性向が下落したことが主な要因として作用した。全世帯の平均消費性向は、10年の77・5%から14年は72・9%に下落した。
国内赤字世帯の家計収支は、金融危機以降、段階的に縮小したが、最近再び増加に転じている。赤字世帯の所得に対する家計収支比率は、09年のマイナス28・6%から13年にはマイナス25・3%に改善されているが、14年はマイナス25・9%とやや悪化した。赤字世帯の平均消費性向は、金融危機以降、09年の138・4%から13年は133・8%に低下したが、14年には134・3%に上昇した。
国内赤字世帯の所得に占める負債レバレッジ(比率)が金融危機以降、緩やかな上昇を見せた一方、資産の変動収入割合は大幅に増加した。赤字世帯の所得に対する負債レバレッジ(01年9・9%⇒14年11・1%)は、全世帯(9・9%⇒3・6%)よりも高く、資産の変動支出割合も全世帯よりも高い。赤字世帯の所得に対する負債レバレッジが金融危機以降、緩やかな上昇(09年10・0%⇒14年11・1%)を示したのに対し、資産の変動収入割合は12・4%増加(11・5%⇒23・9%)した。
高所得層赤字世帯の所得に占める負債借入や資産の変動収入の割合が、金融危機以降、増加し、低所得層を上回っている。金融危機以降、高所得層赤字世帯の負債借入比率は増加(09年10・4%⇒14年17・8%)し、13年から低所得層(09年13・9%⇒14年10・2%)を上回っている。高所得層赤字世帯の資産変動収入の割合も、金融危機以降、大幅に上昇(15・3%⇒58・0%)し、低所得層(17・1%⇒18・1%)よりも高い。
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