◆産業研究院が報告書、ベトナムの韓国多国籍企業を分析◆
ベトナムが国際的な生産基地としての重要性が益々高まり、多国籍企業の投資が相次ぎ、現地の労働コストが急速に増加、こうした状況に応じて企業進出時の戦略の変更が必要との研究結果が発表された。産業研究院(KIET)は、報告書「ベトナム内の韓国多国籍企業の現況と示唆点」を通じ、今後FTA(自由貿易協定)に基づいて、人件費が上昇する可能性に加え、ベトナム進出時の企業に必要な新たな戦略について言及した。
2000年代半ば以降、繊維産業と電子産業を中心に韓国の多国籍企業のベトナム進出が活発に行われている。その主な理由は、比較的質の高い安価な労働力にあるが、それに伴う国内経済に及ぼす効果は産業別に異なることが分かった。繊維産業は、ベトナム進出以降、国内生産の空洞化が発生したのに対し、電子産業の場合、国内で生産されている中間財の対ベトナム輸出は増加した。電子産業は、ベトナムの労働コスト上昇にもかかわらず、国内で生産されている中間財を通じた競争力の確保が可能な半面、繊維産業は相対的に競争力が失われると予想される。
KIET研究員は、「両産業ともに低廉な労働力を活用するためベトナムに進出したが、現在の状況は非常に異なっている」とし、「繊維産業は安価な賃金の労働力を活用した工程での競争力を高めてきた。電子産業の場合、単純な加工、組立のほか、研究開発(R&D)を活用した専門化に成功している」と説明した。
さらに最近ベトナム政府の積極的な経済開発政策により、多国籍企業の投資が増加するにつれ、ベトナムの低い労働コストの利点は、急速に消えると予想される。この点で、単に労働コストだけ考慮したベトナム進出戦略は、競争力を喪失するものと予想される。したがって、専門化、集中化を通じた競争力の確保が必要である。また、国内中間財の輸出を通じ、ベトナム生産製品の韓国企業の付加価値を高める戦略が必要である。経済開発による賃金上昇は、ベトナムの消費市場を急速に拡大させるという点で、ベトナムの消費市場攻略のための戦略も考慮すべきである。
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