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2017/07/28

<Korea Watch>揺らぐサムスン共和国 第41回                                                              国士舘大学経営学部講師 石田 賢 氏

  • 揺らぐサムスン共和国 第41回

◆ポストチャイナを確立するベトナム①◆

 1986年12月の第6回ベトナム共産党大会におけるドイモイ(刷新政策)宣言から約31年、約1億人の人口を有するベトナム経済は、豊富な若年労働者と安い労働コストなどを誘因として、海外企業・資本の進出と投資を招き高成長を遂げている。外国企業の中でも韓国の対ベトナム投資が際立っている。大韓貿易投資振興公社(KOTRA)発表資料(2017年6月12日)によれば、88年以降ベトナムへの外国人直接投資(FDI)累計は、16年末基準2万2594件で、投資額は2937億㌦に達した。このうち韓国企業の投資は5773件、投資額は505億5350万㌦で全体の30・8%で1位を占めた。

 今年上半期(1~6月)のベトナム外国投資庁(FIA)によるFDI誘致額(承認額基準)では、総額192億2000万㌦で昨年同期より54・8%増となり、1位の日本に続き第2位の韓国は49億5000万㌦が承認を受けた。なお、同期間のFDI投資実行額は77億2000万㌦で前年同期より6・5%増加している。韓国の牽引役となっているのがサムスン電子である。ベトナムへの急展開は中国生産拠点の縮小と連動している。中国事業の見直しは、現地人件費上昇と中国政府による高高度ミサイル防御体系(THAAD)への報復措置による販売減少が影響している。

 中国事業の失速を財務データで確認すると、サムスン電子の中国恵州法人(SEHZ)の17年第1四半期売上げは2兆7088億㌆にとどまり、昨年同期の3兆8288億㌆より29・3%の減少となった。

 さらに天津法人(TSTC)の昨年第1四半期の売上高は1兆1704億㌆で、15年同期の2兆610億㌆より43・2%減と惨憺たる状況に追い込まれている。このため天津法人は資産が急減し、今年から公示の対象外になり、工場売却の話も浮上している。この結果、中国ビジネスの縮小は現地雇用の削減につながっており、中国のサムスン電子従業員数もピーク時の13年6万316人から現在3万7070人と38・5%も減少している。

 一方のベトナムは熱気を帯びている。サムスン電子がベトナム進出を本格化したのは、08年に携帯電話の生産工場を竣工した時からである。以後家電製品などの生産品目を増やし、総合家電メーカーの色彩を強めていった。この背景にあるのは、ベトナムの若い労働力が潤沢でしかも勤勉であること、大卒新入社員の給与水準が


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