◆現代経済研が報告書、上昇を続ける国内失業率を分析◆
現代経済研究院は、報告書「均衡失業率の推定と示唆点」を発表した。最近、国内の景気不振が続き、失業率が世界金融危機時の水準に上昇。今年も失業率の上昇傾向は続くと予想され、国内の雇用不安が高まっている。昨年、失業率は第1四半期で4・3%、第2四半期で3・8%、第3四半期で3・6%を記録。これは世界金融危機だった2009年の第1四半期3・8%、第2四半期3・8%。第3四半期3・6%と同等または高い水準だ。
年間失業率は昨年3・7%、今年3・9%と予想され、2015年の3・6%より高い。本稿では失業率を構造的(長期の慢性的失業)、摩擦的(自身に合う働き口を探す過程で発生する失業)、需要不足(不況による経済全般の総需要不足で発生する失業)に分け、今後の国内雇用政策に対する示唆点を提示する。
雇用保険上の被保験者資格の喪失者(以下、資格喪失者)を資格喪失事由別にみると、景気要因(需要不足)による失業実態を間接的に知ることができる。
第一に、資格喪失者が急速に増えている。資格喪失者は2010年に511・2万人だったが、2015年に607・6万人に増加。昨年の資格喪失者は9月までで計487・5万人となり、前年同期に比べ約23・6万人増えた。
資格喪失者の増加率は2013年の0・5%から2015年4・1%に高まり、昨年には9月累積基準で前年同期比5・1%増を記録した。
二つ目に、景気要因による資格喪失者が増加。廃業・倒産、経営上の必要および会社不況による人員削減などによる失職、契約満了や工事終了など景気要因による資格喪失者は昨年9月の累積基準で約166・2万人となり、前年同期に比べ約3・0万人増えた。これは事業所の移転、勤労条件の変動、賃金未払いなどによる自発的退職や定年を含めた非自発的資格喪失者の増加規模の約84・7%に上る。
三つ目に、製造業とサービス業部門で景気要因による資格喪失者が増加した。昨年9月の累積基準で、景気要因による資格喪失者の増加規模は製造業で約1万人、サービス業で約2・2万人となっている。これは、それぞれ非自発的資格喪失者の約63・9%、約99・4%に上る。
本稿では、賃金上昇を誘発しない賃金安定失業率を均衡失業率と仮定。実際の失業率と均衡失業率の乖離を推定し、景気要因による失業率の傾向を分析した。
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