ここから本文です

2018/01/26

<Korea Watch>揺らぐサムスン共和国 第47回                                                              国士舘大学経営学部講師 石田 賢 氏

  • 揺らぐサムスン共和国 第47回

◆女性役員の昇進に受け継がれる人材第一◆

 ライフスタイルの多様化により、女性の社会進出は、世界共通のテーマとなっており、働く女性が企業、政界にも増えている。少子高齢化が急速に進行している韓国においても女性活用の余地が大きいことから、喫緊の課題として浮上している。

 女性活用に関する韓国の位置づけは、2017年11月に世界経済フォーラム(WEF)が発表した「2017世界男女格差指数報告書(GGI、Global Gender Gap Index)」によると、日本は114位、韓国が118位と、両国ともに調査対象144カ国中最低水準に属している。この指標の作成基準は、男女間の経済的参加度および機会、教育達成度、健康と生存、政治的エンパワーメント(権限委譲)という4項目から構成され、ランキング付けされている。ちなみに昨年の第一位はアイスランドであった。

 韓国における女性の社会進出について、電子公示システム(DART)に公開された企業の事業報告書をみると、16年基準では、韓国500大企業で役員に在籍する女性は406人、全体の2・7%にとどまる。前回調査の14年基準と比較すれば、女性役員は53人増加し、その比率も0・4㌽高くなったものの、女性役員が一人もいない企業が336社に達している。つまり全体の3分の2以上の67・2%の大手企業には女性役員が一人もいない。

 これを産業別に比較すると、女性役員を置いている比率が高いのは金融保険業(38・3%)、卸小売業(36・4%)、製造業(30・0%)の順であり、反対に低いのは建設業の19・0%であった。全役員の中で女性役員の占める割合を業種別にみると、卸小売業の4・9%が最も高く、金融保険業2・7%、製造業2・3%、建設業0・8%となっており(図表①)、女性役員を輩出している割合の高い業種とほぼ同じ傾向にある。


つづきは本紙へ