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2018/03/30

<Korea Watch>揺らぐサムスン共和国 第49回                                                              国士舘大学経営学部講師 石田 賢 氏

  • 揺らぐサムスン共和国 第49回

◆人工知能が拓くスマート家電製品◆

 韓国金融監督院電子公示システムのデータによれば、サムスン電子のCE(消費者家電)部門は、2017年の売上げ45兆1100億㌆、営業利益1兆6500億㌆、営業利益率3・7%であった。この水準は、ライバル会社LG電子のH&A(生活家電)事業部とHE(TV)事業部を合わせた実績(売上げ37兆8998億㌆、営業利益3兆557億㌆、営業利益率8・1%)に比べ、売上高で上回っているものの、利益額と利益率では大きく水をあけられている。

 サムスン電子のCE部門の活性化には、人工知能(AI)の領域で他社より先行して新領域を開拓し主導権を握ることが、必要不可欠とみている。

 サムスン電子は、国内外にサムスン製家電製品の利用者が多く、ビッグデータを蓄積しやすいことから、AIを進化させたモノづくりといわれる第4次産業革命に向けて邁進するのに優位な立場にある。つまりAI時代は、モノのインターネット(IoT)を通じてビッグデータを収集・加工して、人間や企業にとって有用な情報を瞬時に取り出し提供する世界である。

 市場調査会社IDCは、世界AI市場規模が17年の125億㌦から5年後の22年には1132億㌦と実に9倍に拡大すると予測している(図表①)。李在鎔副会長が収監されていたこの2月までのほぼ1年間、インテル、アップル、グーグル、アマゾン、フェイスブックなどがAI半導体などへの投資を加速・拡大している。サムスン電子はヘッドハンティング、企業買収、外部機関との連携強化で、これら先行企業との差を縮めようとしている。

 まずヘッドハンティングで最近注目される動きがあった。17年11月にマイクロソフトとグーグルで研究実績のある世界的なAI専門家ラリー・ヘック博士を、米シリコンバレーにあるサムスンリサーチアメリカ(SRA)のAI研究開発総括首席専務として招聘したのを皮切りに、今年2月、5年間グーグルでAI音声認識システム開発を担当していた金チャンウ博士を、韓国内の研究施設・サムスンリサーチの傘下にあるAIセンター常務として迎え入れた。一連の狙いは、音声認識技術をIoTと連結したスマートスピーカーなどに適用する技術を開発することにある。


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