◆AI事業を本格化するサムスン電子◆
サムスン電子は、AI(人工知能)事業を合併買収(M&A)により本格化している。2018年10月、サムスン電子はスペイン企業Zhilabs (通信ネットワークの分析・最適化を遂行する会社、08年設立、従業員30名)を買収したことにより、5G(第5世代移動通信システム)領域における競争力向上を目指す。
AI開発で新たな研究組織として注目されているのが、サムスン電子のグローバルAIセンターである。韓国内にAI総括研究開発センターを昨年11月に設置したのを皮切りに、今年に入り世界6カ所にセンターを新設した(図表①)。
海外6カ所のAIセンターは、AI家電が提供するサービスの改善業務を担っている。米ニューヨークAIセンターは次世代機械学習とロボットの研究、シリコンバレーAIセンターは言語・映像を正確に理解する仮想理解技術のAI研究、英ケンブリッジAIセンターはマイクロソフトのケンブリッジ研究所長を歴任したアンドリューブレイク博士とペンティク教授によるAIを基盤とした感情認識など「人間中心AI」の研究、カナダ・トロントAIセンターは音声認識の研究、カナダ・モントリオールAIセンター(18年10月新設)はマギル大学(1821年創立)、モントリオール大学(1878年創設)と連携し音声認識分野の研究、ロシア・モスクワAIセンターは数学と物理学などの基礎研究に集中する。
AI分野ではサムスン電子は後発企業であることから、遅れを取り戻すためにAI人材をヘッドハンティングするなど加速している。20年までに韓国内に600人、海外拠点に400人の計1000人のAI専門家を結集する計画である。
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