◆来年も15%引き上げれば、雇用9万人減の恐れ◆
韓国で急激な最低賃金引き上げに批判の声が出ている中、国策研究機関のKDI(韓国開発研究院)が「速度調節論」を提起した。「最低賃金の急激な引き上げが続く場合、予想していなかった副作用を招く恐れがある」という警告だ。文在寅大統領は、2020年までに最低賃金を1万㌆に引き上げると公約し当選したが、相次ぐ批判に対応が急がれている。
KDIは4日発表した報告書「最低賃金引き上げが雇用に及ぼす影響」で、最低賃金が毎年15%引き上げられる場合、「来年は最大9万6000人、2020年には最大14万4000人の雇用が減る恐れがある」と指摘。「相対的に賃金が低い労働者の賃金が上がる効果はあるが、副作用を考慮して引き上げの速度を調節する必要がある」と提言した。
政府は大統領公約履行のため、今年の最低賃金を時給6470㌆から7530㌆へと16・4%引き上げた。かつてない大幅な引き上げで、施行からまだ5カ月だが、副作用とみられる現象が表れている。1月に33万人台だった就業者数の増加幅(前年同月比)が2~4月の3カ月連続で10万人台に縮小した。中小業者らは人件費の負担増に苦しみ、パートタイムの雇用を減らすなどのケースも出ている。
最低賃金引き上げを主導してきた青瓦台(大統領府)は、このような警告に困惑している。張夏成(チャン・ハソン)・政策室長は先月15日の与党・政府・青瓦台の幹部協議会で、「全体として雇用減少効果はなく、国内の消費は増加が目立つ」と評価。文大統領は補完すべき点を認めつつも、「最低賃金引き上げのプラス効果が90%だ」と評価した。
KDIも「現段階では最低賃金引き上げが雇用に及ぼしたマイナスの影響はまだ確認されていない」と指摘。就業者数の増加鈍化について「人口増加幅の縮小と自動車・造船など製造業の大規模な構造調整などを考慮すると、最低賃金引き上げの影響と見ることはできない」と分析している。
しかし、
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