◆現代経済研が報告書、生産コスト増加による物価上昇を分析◆
現代経済研究院は報告書「費用上昇インフレ(コストプッシュインフレーション)は現実となるか」を発表し、国際原油価格など原材料価格の上昇や雇用コストの増加、猛暑などによる供給側のインフレによる物価上昇が予想されるとの見通しを示した。
コストプッシュインフレーションとは、賃金や原材料費などの生産費用の上昇が価格に転嫁されることによって生じるインフレのこと。このようなインフレを防止するために、賃金の上昇率を一定以内に抑える所得政策や、市場支配力の過度の集中を防止する独占禁止政策、輸入原材料の上昇に起因する場合には、輸入量を削減する総需要管理政策や輸入節約技術の振興等の対策が講じられる。
物価上昇の原因は大きく需要側の要因と供給側の要因に区分される。前者の場合、需要拡大に伴う需要牽引インフレ(ディマンドプルインフレーション)を意味し、後者の場合、供給側面である原材料、雇用費用など生産費用上昇に伴うコストプッシュインフレを意味する。最近の国内物価上昇は経済回復傾向に伴う需要回復による要因や原材料価格の上昇など、供給側の物価上昇要因が今なお残ると判断されるが、特に今後は国際原油価格などの原材料価格の上昇、雇用費用の増加など、供給側のインフレ誘発要因によって物価不安が予想される。これに伴い、報告書では最近の物価動向を調べ、コストプッシュインフレの可能性を点検した後、示唆点を導き出した。
2017年下半期以降、急激な下落傾向を示してきた消費者物価上昇率が、回復傾向にあり、上昇幅が小幅鈍化している。生活物価上昇率は16年下半期から急上昇して消費者物価上昇を主導したが、以後急激に下落、18年初めに0・8%まで下落し、最近1%台中盤にまで回復している。14年下半期以後持続的に下落傾向にあった生産者物価は16年末に上昇に転じたが、17年上半期以後、再び下落傾向となり、1%台序盤の水準まで下落した。だが、18年以後には2%台中盤水準まで回復して上昇の勢いが持続している。特に最近商品物価の急な上昇傾向を基に生産者物価上昇が続いている。
14年から16年までは、国際原油価格をはじめとする原材料価格が下落した半面、16年以後は反騰傾向にある。国際原油価格は10年序盤に1バレル当たり100㌦水準から16年1月に26・9㌦まで下落した後、上昇に転じて18年8月現在72・1㌦水準となっている。
また、国際食糧価格は16年以後上昇の勢いを継続しており、最近は横ばいで推移している。
つづきは本紙へ