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2019/05/31

<Korea Watch>揺らぐサムスン共和国 第63回                                                              国士舘大学経営学部客員教授 石田 賢 氏

  • 揺らぐサムスン共和国 第63回

◆サムスングループ総帥に2年目の試練◆

 2019年5月1日、李在鎔副会長は、公正取引委員会からサムスングループの総帥と指定されてから2年目に入る。李副会長は昨年2月の経営復帰後、新規事業の発掘に奔走する一方で、朴槿惠前大統領と崔順実側に賄賂を贈った疑惑により、大法院の結審がこの6月との報道もあり、今年に入ってからは表立って活動できない微妙な立場にある。

 釈放後1年数カ月の活動を整理すると、李副会長は海外企業との情報交換で新規事業の方向性の確認とグローバル企業との幅広い人脈の再構築に尽力しており、13回の海外出張(欧州、インド、日本にそれぞれ3回、中国とアラブ首長国連邦(UAE)に2回、その他は1回)をこなし、次世代事業の発掘に多くの時間を割いている(図表)。

 現在、メモリー半導体の需要減少と価格下落のダブルパンチを受け、さらに携帯電話の需要が頭打ちの状態にある中、両製品ともに中国企業の追撃が激しく、サムスン電子は広告宣伝費や人件費などの経費を削減する一方で、多品種少量生産の非メモリー半導体の市場拡大に活路を求めている。

 19年4月「半導体ビジョン2030」を発表し、30年まで非メモリーシステム半導体分野に133兆㌆を投資することを明らかにした。非メモリー半導体市場はメモリー半導体よりも規模が大きいうえ、高い収益性が見込まれている。ただし、サムスン電子が武器としてきたのはメモリー半導体の大量生産によるシェア拡大と価格競争力にあるのに対し、非メモリー半導体の分野は、個別の顧客ニーズに対する柔軟な設計能力と創造性が求められる世界である。

 非メモリー半導体同様、サムスン電子が次世代事業として期待しているのは、AI(人工知能)分野である。サムスン電子はまず韓国AI総括センターを立ち上げ、昨年10月にカナダのモントリオールにAI研究センターを新設したことで、米シリコンバレー、英ケンブリッジ、カナダ・トロント、ロシア・モスクワ、米ニューヨークと矢継ぎ早に7つの研究拠点を持つに至った。これにはAI事業で先行するグーグル、アップル、アマゾンなどの世界企業との出遅れを取り戻す狙いがある。

 7カ所のAI研究センターは、サムスン電子の先行研究組織サムスンリサーチを総括部門とし、20年までに計1000人のAI専門家を結集し、韓国内に600人、海外拠点に400人の研究者を配置する計画である。

 AI分野の高度な人材をヘッドハンティングしていることが最近目立つ。昨年は、


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