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2021/05/28

<Korea Watch>揺らぐサムスン共和国 第87回                                                              国士舘大学経営学部客員教授 石田 賢 氏

◆5G市場の獲得に苦しむサムスン電子◆

 米国政府は、昨年9月から華為技術(ファーウェイ)に対して高性能半導体の輸出規制を本格化している。高性能半導体は、スマートフォンや高速通信規格である第5世代移動通信システム(5G)の通信網などに幅広く使われており、人工知能(AI)など最先端技術においてもコア部品となっている。具体的には、自律走行車、ロボット・ドローンなどの制御、遠隔医療などのサービスへと広がる。華為が輸出規制の強化により米国市場から排除されたことから、サムスン電子はこの間隙を縫って、5Gスマートフォンや5G事業での米国市場拡大を狙っている。だがサムスン電子としてはこの状況を手放しで喜べない。米国の5G市場では米国政府が肩入れすると憶測されているエリクソンやノキアとの競争が避けられず、サムスン電子は、両社よりも5G技術において優位にあることを打ち出す必要がある。

 サムスン電子は2020年1月、5Gシステムネットワークの設計・専門のコンサルティング会社・テレワールド・ソリューションズ(本社・米バージニア州)を買収し、5G基地局市場で存在感を高める戦略に出た。さらに昨年9月には、アメリカ1位の通信会社・ベライゾン・コミュニケーションズから約66億㌦規模のネットワーク設備の長期供給契約を締結した。


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