知識経済部とKOTRA(大韓貿易投資振興公社)はこのほど、都内で韓国のビジネス環境などについてアピールする「韓国投資環境説明会」を開催した。また、部品・素材を中心とした韓日中小企業商談会が同時開催された。韓国の部品・素材専用工業団地への日本企業誘致の現状と韓国進出企業の成功事例などを紹介する。
投資環境説明会では、知識経済部の李東根・貿易投資室長があいさつを通じて、「部品・素材分野の投資拡大は、韓国と日本の両国パートナー関係を構築するうえでの前提要件。韓国政府が推進している部品・素材専用工業団地は、日本企業の韓国投資を大きく拡大することができる一つの方向性となるだろう」と強調。また、「世界的な同時不況に一国が輸出主導型で対処するには限界がある。韓日の投資協力で、これに挑むことが、両国経済にとっての突破口になる」と述べた。
今回の投資環境説明会ならびに商談会には、李東根・貿易投資室長を団長として部品・素材専用工業団地の指定地域である慶尚北道、全羅南道、釜山鎮海経済自由区域(FEZ)、忠清南道、大邱広域市の各地方自治体と大手・中小企業などで構成された代表団が参加した。
韓国は製品輸出のために部品・素材を日本からの輸入に依存。拡大する対日貿易赤字改善のため、日本の優れた部品・素材メーカーからの対韓投資、部品・素材専用工業団地への進出などを促進している。
各地方自治体による説明に先駆け、知識経済部関係者が、部品・素材専用工業団地の推進背景や造成状況などについて説明した。
推進背景について、昨年4月、李明博大統領の訪日時、韓国の部品・素材専用工業団地造成の推進意思を表明。韓国政府は立地条件をはじめとする工業団地への意見がどのようなものがあるのか調査を行い、インセンティブなどを準備した。その後、昨年7~9月にかけて立地の候補地を選定、税制面での優遇などを整備。同10月には日本企業に対して集中的に広報活動を展開。両国財界人による韓日ビジネスサミット・ラウンドテーブル(BSR)や韓日技術産業フェアなどの席で専用工業団地について説明を行った。また12月には、慶尚北道の亀尾、浦項、釜山鎮海経済自由区域(FEZ)、全羅北道の益山といった地域を部品・素材専用工業団地として指定した。今年2月には、こうした場所を外国人投資指定地域に指定した。このような流れを経て本格的な事業に着手した。
現在の状況については、亀尾、浦項、大邱の3地域が即時の入居が可能で、忠清南道の天安、全羅北道の益山、釜山鎮海経済自由区域(FEZ)などは現在準備中であり、来年以降から入居が可能となる。
こうした地域には韓国を代表する大手企業の工場がある。また、経済自由区域に指定されており、教育をはじめとするさまざまな外国人の生活に便利なインフラが整っていることをアピール。そのほか、税制優遇を含む投資環境について説明した。また、アジアに進出した日本企業の経営実態について行った昨年のジェトロ調査の資料を引用して、韓国に進出した日本企業が最も高い営業利益を上げたこともアピールした。
「韓国進出成功事例」について、現在韓国においてブラウン管用ガラスバルブなどを製造・販売する韓国電気硝子をはじめ、液晶パネルディスプレー用ガラス基板などを手掛ける旭ガラスファインテクノ韓国、自動車用加工ガラスを製造・販売するコリアオートグラスなど、複数の事業拠点を韓国に確保している旭硝子の寺岡正博・統括主幹が説明。寺岡統括主幹は、韓国への投資メリットとして、外国人投資家に対する優遇策や支援体制の充実を強調。また、スケジュールなどの時間を順守して仕事に取り組むなど、勤勉で規律正しい国民性や日本語でもスムーズにコミュニケーションが取れる優れた語学力を高く評価した。その一方で、韓国人は人と人の絆が強いため、このことが技術流出につながることもあり得ると指摘。また、日本との直行便がない地域の場合、往来時間が多少かかること、また為替変動による価格的なリスクなどを挙げた。
このほか、SK証券アナリストによる「韓国の直接投資有望産業」では、今後注目されるビジネスとして環境、医療、金融、サービスなどの分野を挙げた。また、知識経済部による「新再生エネルギー政策動向」の報告もあり、同分野への積極的な投資を呼びかけた。