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2009/02/06

<オピニオン>ポスコ新会長に鄭俊陽氏内定

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    チョン・ジュンヤン 1948年2月3日、京畿道・水原生まれ。ソウル大学工業教育科卒。1975年に浦項総合製鉄(現ポスコ)入社。製鋼部長、生産技術部長、EU事務所長、光陽製鉄所長などを歴任。趣味は読書で、歴史や科学書を愛読。

 先月15日の李亀沢会長の辞任表明を受け、ポスコは社外取締役8人によるCEO(最高経営責任者)候補推薦委員会を開催、鄭俊陽・ポスコ建設社長を次期会長に内定した。同委員会は、鄭俊陽社長と尹錫万・ポスコ社長の2人を会長候補に挙げ、両者と面談して経営哲学、事業ビジョン、経済危機克服案などについて意見を聞き、最終的に鄭社長に決定した。鄭社長は今月27日の株主総会の直後に開かれる理事会で、新会長就任が正式に決定する。

 鄭次期会長はソウル大学工業教育科を卒業後、ポスコの公開採用8期(1975年)で入社。光陽製鉄所所長、ポスコ生産技術部門の社長などを歴任した。エンジニア出身のCEOで、製鉄技術に明るく、「鉄の魔術師」との異名をとる。昨年11月からはポスコ建設の社長を務めている。CEO候補推薦委員会は、鄭社長を抜てきした理由について、「最近のような非常経営時には、製鉄所の運営ノウハウを熟知したエンジニア出身の会長が適任だと判断した」と説明している。

 鄭次期会長の人物像はどのようなものか。第1印象について多くの人が、「気立てが良く、親しみやすい近所のおじさんのような人」と話す。性格は穏和で、鉄の固いイメージと正反対だというのがポスコ内外の共通した評価だ。

 鄭次期会長は、入社以来ずっと生産現場で汗を流してきた。99年に当然、技術研究所の副所長からEU(欧州連合)事務所長に異動を命じられた。当時、技術畑から海外への転勤は左遷とみられていたが、技術力が買われ3年後の02年3月に光陽製鉄所の副所長に復帰した。

 その後は出世街道をまっしぐらに歩み、04年に専務(光陽製鉄所所長)、06年に副社長(生産技術部門)、07年には社長(生産技術部門)に昇格した。

 このようなハイスピード昇進の要因は、技術開発によるグローバルリーダーシップの確保を提唱するなど、ポスコの技術革新をリードしてきた点が挙げられる。特に親環境型製鉄所ファイネックス工法の商用化を主導した功労が認められ、07年5月には政府の金塔産業勲章を受章した。さらに鉄鋼産業の本場である欧州に勤務した経験があり、グローバルビジネスに明るいことも高く評価されている。

 ポスコ関係者によると、李亀沢会長はインドやベトナムなどアジア市場を重視する姿勢をとってきたが、鄭次期会長はさらに広いグローバルな視点でメキシコなど米大陸への進出に前向きで、今後、積極的な海外投資に乗り出す可能性が高いという。


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